AMHが0.04ng/ml。 採卵数が少なく胚盤胞まで育ちません

久保みずきレディースクリニック 石原 尚徳  先生 高知大学医学部卒業後、神戸大学医学部大学 院修了。医学博士。兵庫県立成人病センター、 兵庫県立こども病院の勤務を経て、2008 年よ り久保みずきレディースクリニック菅原記念診 療所勤務。不妊治療から周産期・小児医療ま で、地域に根ざした総合的なサポート体制が 整う同クリニックで、不妊治療/婦人科、産 科を担当する。

相談者:ちゃよまるさん(35歳)AMH が 0.04 ng/ml と低く、高刺激も試しましたが最高で 2 つの卵子しか獲得できず。低刺激や自然周期で採卵を毎月繰り 返しても、1 年ほど良好胚盤胞が育っていません。これまで採 卵 16 回、移植 4 回(初期胚 2 回、胚盤胞 2 回)です。その うち凍結胚盤胞移植(顕微授精)で初めて妊娠しましたが、胎 囊確認後に流産。医師には「胚盤胞にならない受精卵は初期胚 で移植しても結果は同じ」と言われています。また、体外受精 を行うと多核受精が続きます。顕微授精を選択すべきでしょうか。

 

AMHが 0.04  ng/mlと低く、採れる卵子の個数が少ないそうです。

石原先生●AMHの値が低くなると、 1周期ごとに候補になる卵胞の数が減り、採れる卵子の数も少なくなります。とはいえ、ちゃよまるさんはまだ 35 歳です。諦めずに採卵を続け、受精卵がトータルで 10 〜 20 個できるようになると妊娠の可能性はあります。

そのためには、これまでと同じ治療をただ繰り返すのではなく、治療と並行して、ご自身でも妊娠しやすい体づくりに取り組まれることが大事です。体づくりの土台になる良質な食事と睡眠を心がけるのはもちろんのこと、卵巣や子宮の環境を整えるサプリメントの摂取がおすすめです。すでにイノシトールやメラトニン、DHEA、葉酸、ビタミンDを飲まれていますので、さらに全身の血流を促すヨガやウォーキングといった有酸素運動のほか、鍼灸やレーザー治療を試されるのも一つです。通院している施設の人とも相談し、体質改善に努めてください。

初期胚移植についてはどう思われますか。

石原先生●胚盤胞と初期胚を移植した時の妊娠率を比較すると、胚盤胞のほうが高いですから、良好な胚盤胞を移植するに越したことはありません。ただ、なかには胚盤胞になりにくい方もいます。そういう方はあまり胚盤胞にこだわる必要はないのかなと思います。当院は患者様の受精卵の状態によって初期胚移植にも柔軟に対応しています。

受精卵を人工の培養液の中で育てていく体外受精では、卵管や子宮と同じ体内環境が完璧に再現されているわけではありません。ですから受精卵によっては、自然な体内環境の中に初期胚で早く戻してあげたほうがいい結果になることもあります。

体外受精で多核受精が続いているそうです。今後どのような治療がいいでしょうか。

石原先生●正常な胚(受精卵)は1つの細胞の中に  2つの前核が出現します。一方、3個以上の前核がみられる場合を多核胚といい、その原因は二つあります。まず体外受精では1つの卵子に複数の精子が侵入する多精子受精が起きている可能性です。また、顕微授精では卵子側に何らかの問題があると考えられます。どちらにしても多核胚は染色体異常の確率が高く、多核胚を移植しても着床不全や流産になる可能性があります。

ちゃよまるさんは、体外受精で多核受精が続き、顕微授精で妊娠されています。費用はかかりますが、顕微授精がいいのではないかと思います。

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