もなかさん(37歳) 
現在、助成金がある時に採卵した胚盤胞(4BB)の凍結胚があります。2個戻しをする為に、保険適応で採卵をして、2日目初期胚(4分割G2)と5日目胚盤胞(5AA)2つ凍結できました。
1年振りの採卵なので胚盤胞は難しいかなぁと思っていたら、まさか今までで1番良いグレードができました。グレードが良くても染色体異常の場合もあるのでグレードより質と言うことは理解していますが嬉しかったです。

二段階移植するか胚盤胞2個戻しをするか悩んだ䛾で2人の先生に意見を聞きました。
A先生
二段階移植をすすめてくれました。2個戻しはすすめないとのことでした。
B先生
2個戻しをすすめてくれました。移植が全て陰性だったのでカルテをよーく見ながら何か考えておられました。TRIO検査で着床の窓は5日目でぴったりなのですが、全て陰性ということもあって移植のタイミングを早めようって言われました。

2人の意見が違うためどっちにしようか凄く悩んでいます。

いながきレディースクリニック 稲垣 誠 先生 
1994 年、浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院、鹿児島市立病院、聖隷沼津病院などで産婦人科医の経験を重ね、2012 年、不妊治療専門施設「いながきレディースクリニック」を開院。「お一人ひとりに寄り添いながら、それぞれの患者さまに合った最適な治療を心がけています」

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
■2個胚移植と2段階胚移植について
2個胚移植とは、初期胚同士又は胚盤胞同士と同じ発育段階の胚を同時に2つ移植することを言います。
2段階胚移植とは、初期胚(1つ)と胚盤胞(1つ)をそれぞれ黄体化開始後2日目と5(または4,6)日目にそれぞれ、計2回に分けて胚移植することを言います。

 ■それぞれのメリット・デメリットについて

2個胚移植のメリットは、胚を2つ戻すため、妊娠の可能性の上昇が期待できる。保険適応で実施できる可能性がある。
また、デメリットは胚を2つ同時に消費すること。
双胎妊娠などの多胎妊娠の可能性。妊娠可能性の上昇は2倍にはならないことになります。
2段階胚移植のメリットは、胚を2つ戻すため、妊娠の可能性の上昇が期待できる。
デメリットとは保険適応外(先進医療)。胚を2つ同時に消費すること。
多胎妊娠の可能性。妊娠可能性の上昇は2倍にはならないことになります。

■着床の窓に合わせて移植しても着床しない場合、移植のタイミングをずらすことは可能か?

可能かどうかでいえば、可能だと思います。
ただし、過去の胚移植で着床しなかった理由が不明なので、単純に移植のタイミングをずらせばいいということでもないと思います。
胚のクオリティの問題であった可能性もあるので、移植のタイミングの変更は慎重に決めたほうがいいと思います。

 ■患者さまへのアドバイス

この方のケースの場合、2個移植するとなると、初期胚の追加培養をすることになると思いますが、その際は(その初期)胚が胚盤胞まで成長しないリスクが生じます。
ですので、1周期に2つ胚移植をするということであれば「胚の現状を優先する」として2段階移植かなと思います。
自費採卵の時の胚盤胞が一定の保管期間を過ぎて保険適応での保管に切り替われば、胚盤胞同士の2個移植は選択肢となりうると思います。
が初期胚の追加培養は上記の理由でリスクを負う覚悟が必要と考えます。

また、アドバイスではありませんが、「移植のタイミングを早めよう」というコメントは少々気になります。

なぜ「遅らせる」ではなく「早める」のか。TRIO検査(着床の窓の検査)では5→6日目の結果の方が多いので、個人的に違和感があります。
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