【Q&A】不妊治療、もうあきらめるべき?~見尾 保幸 先生

長く不妊治療を続け、それでも授からないとき、どう向き合ったらよいのか先が見えなくなりますよね。

見尾先生に、ARTの妊娠率・可能性について率直なご意見、お考えを聞いてきました。

ミオ・ファティリティ・クリニック 院長 見尾 保幸先生

鳥取大学医学部卒業後、同大学医学部産科婦人科を経て、1993年「ミオ・ファティリティ・クリニック」を開設。婦人科から不妊、産科外来まで女性の生涯にわたる部門を併設。タイムラプスシネマトグラフィー装置を独自開発して第一人者で、ヒトの卵子を精子が受精する瞬間を世界で初めてとらえた。妊娠・出産の夢に向かって頑張るカップルのサポートを行っている。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
チエルさん(38歳)  結婚11年。
不妊治療などしましたができず…旦那46歳、私38歳。
もう諦めたほうがいいんでしょうか?

不妊の原因について

この方のデータを診て、先生が考えられる授からない理由について、どうお考えになりますか?

クラミジア感染の有無、腹腔内に⼦宮内膜症の出現、卵⼦数減少と質的劣化等が考えられ、重複の可能性もあります。中でも、卵⼦の劣化が最も重要で、残っている卵⼦の中で劣化の⽐較的少ない、健康な卵⼦でワンチャンスを活かす治療ができれば妊娠・出産の可能性はあります。
また、卵⼦の質的低下で形態良好な受精卵が育たなければ、我々が開発した「透明帯除去法」により受精卵の発育を改善し、妊娠につなげる可能性が⾼まります。

38歳での ART 妊娠の可能性はどうお考えになりますか

38歳のARTの妊娠率・出産率について教えてください。また、年齢的にどのような治療がベストでしょうか?
2019 年の⽇本産科婦⼈科学会集計では、胚移植あたり35%、⽣産率(⾚ちゃんが⽣まれる率)は全治療あたり15%程度、です。
我々の累積妊娠率(治療を1年間継続されている⽅のみを対象とした妊娠率)は93%に達します。治療(努⼒)を継続することが妊娠への鍵です。治療法に関しては、ご夫婦のお⼦さんに対する思いの強さで決まります。
何としても叶えたい夢であれば、当然最善をつくすべきで、ART 反復になりますし、そこまででないなら、⾃然経過でも構いません。夢を追って、信頼できる医療者と⼀緒に必死に頑張れば夢は叶います。

月経量が増えています、不妊との関連はありますか

⼦宮筋腫や⼦宮腺筋症などでは、⽉経量が増えますが、超⾳波検査で簡単に分かります。
⼀般的には、⽉経量が多いことは、⼦宮内膜が⼗分厚くなっていることを⽰し、妊娠には有
利だと思います。

先生からのアドバイス

どこまでお⼦さんの夢を追い求めていかれるかで全てが決まります。やり尽くした感を
残して治療終結は必ず後悔が残ります。
⼩⽣の感覚としては、⼀切の無駄、妥協を無くして、きちんと最善を尽くした対応を取れば、⼗分妊娠可能だと思います。ご夫婦の夢の実現のためにどの医療者に夢を託すかが極めて需要でしょう。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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