不妊治療を受けているにもかかわらず、AMH値が分からないようですが、AMHは卵巣予備能を知る重要な指標であり、治療方針を立てるうえで基本となる情報です。もし検査をされていないなら、AMHの測定を行わない施設での治療は避けることが望ましいと思います。
不妊治療における先進医療の多くは、妊娠率が向上する確実なエビデンスがないのが現状です。確実なエビデンスがないにもかかわらず、その治療を行っている施設があるため、とりあえず先進医療の枠組みに入れて様子を見るという形になっています。そのため、タイイムラプスインキュベーター以外の先進医療が、妊娠率を確実に高めるとは言えません。
体外受精を繰り返しても着床しないとのことですが、通常、胚盤胞は移植の翌日や翌々日には着床を始めています。そのうえで妊娠判定が陰性になる場合は、着床自体が起こらなかったのではなく、妊娠判定前に胚の発育が止まってしまったと考えるのが自然です。また、化学流産が起きるということは、着床自体はきちんと起こっていたことを意味しています。

また、38歳で体外受精を行っている場合に、人工授精を検討するというのは少し疑問があります。人工授精の1周期あたりの平均妊娠率は7~8%程度といわれていますが、体外受精で胚移植を行えば、30代後半でも1回の移植で妊娠率は約30%程度が期待できます。そのため、確率の低い治療をわざわざ選ぶ必要はなく、その選択はあまり意味がないと考えられます。
そもそも体外受精は人工授精で妊娠できない方に行う治療です。染色体検査も検討されているようですが、染色体検査は流産時の検体で「均衡型転座」の可能性がある方が受ける検査となり、senaさんもご主人も、現時点では大きな染色体異常はないと考えられるため、今のところ染色体検査は必要ないと思います。
一方で、保険診療では行うことはできませんが、PGT-A検査は、移植しても途中で発育が止まってしまう場合や、流産を繰り返している方にとって有用な検査です。移植前に胚の染色体の状態を確認することで、染色体異常のある胚を避けて移植することができ、結果として無駄な移植を減らすことにつながります。また、PGT-A検査で正倍数性と判断された胚を移植した場合、1回あたりの妊娠率は約60%程度が期待されます。そのため、適応がある場合には、PGT-A検査は検討する価値の高い選択肢と考えられます。
一方、子宮内膜は毎月新しく入れ替わる組織であるため、妊娠率を高めるような特別な治療法はありません。また、生活習慣を改善することで妊娠率が明確に向上したという確実なエビデンスも、現時点では示されていません。
これらを踏まえ、現実的に妊娠率の高い方法を選択していくことが重要だと思います。