保険適用外の薬は避けたい

正常値なのにホルモン補充、 サプリメントも勧められ、 薬を多用する医師を不信に

Chocolate Creamさん(36歳)からの相談 Q.2人目の子を授かりたく、タイミング指導で治療中です。不妊の原因としては、 高プロラクチン、PCOが考えられます。今周期の治療経過は、D4でホルモン 負荷検査。D11で血液検査、カバサールⓇの内服を開始。排卵日検査薬の結 果からD14の夜にタイミング。D18新たに血液検査し、腟剤と黄体ホルモン を補充。本日D19に出た検査結果では黄体ホルモン10.4ng/mlと正常値でし たが、腟剤とデュファストンⓇの使用は続けたほうが安心だと言われました。そ こで質問なのですが、正常値でも黄体ホルモン補充は必要ですか? ほかにも、 PCOによいとされるサプリメントを勧められて服用しています。「できるだけ早 く授かりたい」と担当医にお願いはしましたが、腟剤もサプリメントも保険適用 外なので、薬を多用する医師に少し不信感を抱いています。
柏崎 祐士 先生 京都府立医科大学医学部卒業。2000年まで日本大学板橋病院で主 に不妊治療に従事し、その間、米国エール大学医学部産婦人科で 研修。その後、「かしわざき産婦人科」副院長に。日本生殖医学会 生殖医療専門医、日本婦人科内視鏡認定医。O型・おとめ座。「ホー ムページをリニューアルします。これまでは産婦人科、不妊治療 科とも一緒でしたが、これからは別々に。不妊の患者さんに配慮 し、より多くの情報をお届けしたいと思います。また、内視鏡認 定医の資格を取りました。もしかしたら、最高齢での取得かも(笑)。 いつまでも、向上心は失いたくないですね」

D 19 で黄体ホルモンが正常値でしたが、「そ のほうが安心だから」と補充されました。

治 療ではよくあることですか?
柏崎先生 まず、Chocolate   Cre amさんはとても感心な患者さんですね。
ご自 分の状態のこともよくわかっていらっしゃる し、どのような治療がなされているか、どの ような薬が用いられているかもきちんと把握 し、よく勉強もされていると思います。
これ ほどしっかりした方なのですから、担当医に 疑問や質問、提案をどしどし投げていただき たいですね。
「保険適用外のお薬やサプリメン トは、できれば避けたいのですが」とのお気 持ちを率直に伝えれば、すべて解決するので はないでしょうか。
そう言われて気分を害す る医師もいないでしょうし、医師の立場から しても、お薬はできるだけ最小限にしたいの です。
 担当医は「できるだけ早く授かりたい」と いうChocolate   Creamさんの願 いを叶えたいとの思いから、善意のもと、で きるだけのことをされているのだと思います。
おっしゃる通り、特に腟剤は体外受精では スタンダードで用いられるものの、タイミン グ指導下では、D 19 での黄体ホルモン補充は 必要がないとも思われます。
しかし、補充し てはいけないというものでもなく、「念のため」 に使用することは大いにあり得ます。
これも、 早く授かってほしいからこその配慮では?

医薬品ではないサプリメントに、不妊治療 の効果は期待できますか?

柏崎先生 PCOやPCOSにはグリスリン といったサプリがよいとされていますし、 L ー カルニチンやアルギニンなどにはアンチエイ ジング作用があるとされ、卵子や精子にも よい働きをするのではないかと期待されてい ます。
どれも、私個人としては「試してみる 価値はある」と思っていますが、あくまでも サプリメントであり、不妊治療薬でもありません。
もちろん保険適用外ですから、こちら から強くお勧めすることもありません。
しか し、西洋医学的な根拠はないにしろ、ヨモギ 蒸しや鍼灸など、やってみたら気持ちが良かっ た、体の調子が良くなったように感じる、と いったものも多くあります。
飲んでいると安 心、といった「心地好さ」を感じるとしたら、 心身にも何らかの良い影響はあると思います。
男女とも健康を害する原因の多くはストレス によるものですから、やって「気持ち良いもの」 は、悪くはないはず。
私としては、サプリメ ントの作用を否定はしません。

質問者さんにアドバイスを。

柏崎先生 「医師に少し不信感を抱いていま す」という言葉が気になります。
不妊治療は 患者さんと担当医の二人三脚のようなもので、 足並みが揃わないと良い結果につながること は難しいと思います。
言いたいことを遠慮す る、我慢するのもストレスになるので、ぜひ 担当医と忌憚なく話し合ってください。
医師 が良かれと思ってお勧めすることであっても、 それが患者さんのご負担になってはいけませ んから、受け入れがたい治療はきっぱりと断っ て構いません。
「私は、こういう治療法を望み ます」と、患者さん側から提示していだければ、 医師は必ず尊重しますよ。
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