受精卵が出来て、いざ移植のステージへ。

ここまで来たら、着床、妊娠、出産へとステップを踏んでいきたいところ。

結果を出すための移植の条件は、どんなものなのでしょう?

藤本先生に聞いてきました。

 

藤本 尚先生

日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、臨床細胞学会細胞診専門医。札幌医科大学産婦人科、神谷レディースクリニック 副院長を経て、医療法人社団 さっぽろARTクリニック開院し理事長に就任。2019年5月 医療法人社団 さっぽろARTクリニックn24開院。

みゆさん(39歳)

なぜか生理5日目からショート法で刺激開始し、生理15日目に採卵予定になりました。確実に採れそうなのは2個らし いです…。前回、新鮮胚盤胞移植でダメだったので、凍結したいと希望を伝えましたが、2個で移植ってどうなのでしょう か?しかも先生からすすめられたわけではなく、妊娠率をみて凍結したいという、こちらからの要望です。子宮内膜の厚 みも現段階で問題ないみたいなのですが、凍結しないほうがよいでしょうか?ベストな移植の条件は何なのでしょう か?凍結するかどうかも今悩んでいます…。 

 

みゆさん、こんにちは。

どんな刺激法にするか?何個くらい卵が育ちそうか?は一番はAMHにかかっています。AMHの記載がないのでわかりませんが、同じ誘発法で同じ量の注射を使っても、20個育つ人もいれば2個しか育たない人もいます。AMHの高い人はたくさん育つ可能性があり、AMHの低い人はあまり多くは育ってきません。卵はあまりたくさん育ちすぎるのも困るので、そのような場合には少し弱めに排卵誘発を行おうとか、、あまりたくさん育たなそうなので強めの排卵誘発にしようなどと考えます。AMHが高い人でも実際に排卵誘発を行うと、想定よりも育ってこない人もいます。その場合には一度排卵誘発を中止して、改めて仕切りなおす場合もあります。そのため、2個という個数はAMHの高い人にとっては少ないということになりますが、AMHの低い人にとっては2個でも嬉しい場合もあります。

新鮮胚盤胞と凍結胚盤胞の成績の違いですが、現在の日本のデータでこの成績を見れるのは https://plaza.umin.ac.jp/~jsog-art/2017data_20191015.pdf になるんですが、このPDF資料の中の13ページに目的の資料があります。どの年齢でも凍結胚盤胞移植の方(紫の線)が、新鮮胚盤胞(赤の線)よりも高い成績が出ているのが分かります。このため、新鮮胚移植は行わない施設もあります(明らかに凍結胚盤胞の妊娠率の方がいいため)。胚盤胞と初期胚を合わせた、新鮮胚移植と凍結胚移植の成績も同様に凍結胚の方が成績がいいという結果が出ています。そのため、私自身も今はあまり新鮮胚移植を行っていません。

ただ、2個しか取れないのに胚盤胞を目指すと、一つの胚盤胞も凍結できない可能性があります。移植を行わないと妊娠もしないので、数が少ない場合には初期胚(2-3日目)の移植も検討する価値があると思います。

まずは、AMHを測定して、発育卵胞“2個”というのが妥当な2個なのか?想定よりも少ない2個なのかを判断してみるといいかと思います。移植に関しては現在の日本での成績を考えると凍結胚移植は大いにやる意味があるかと思います。また、胚盤胞に限らず初期胚の移植も検討する価値があるかもしれないと思います。つまり凍結初期胚移植です。

以上お返事とさせていただきます。みゆさんが、無事に妊娠出産されることを祈ってますね。

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