凍結胚盤胞移植を6回。
1度も着床しません。
今後の治療方針は?

ノア・ウィメンズクリニック 田中 宏明 先生 聖マリアンナ医科大学卒業。慶應義塾大学病院、東京歯科大学市川総合病院リプロダクションセンター、海老名総合病院などで約25 年間にわたり不妊と周産期医療に携わる。2018年、ノア・ウィメンズクリニック院長に就任。一人ひとりの生き方に配慮した、オンリーワンの診療に努める。医学博士(大阪医科大学)、日本産科婦人科学会認定専門医。
Waiwaiさん(35歳)不妊の原因は不明。顕微授精(ロング法)により胚盤胞9個を凍結。移植を6回行いましたが一度も着床していません。子宮鏡検査、TRIO 検査では異常なし。不育症スクリーニング検査で潜在性甲状腺機能低下症の疑いがあるといわれ、チラーヂンS ® を服用しています。残りの凍結胚は1個ですが、冬の間はいったん治療をお休みし、春になったらもう一度採卵からやり直そうと思っています。着床しない原因は? セカンドオピニオンを受けるべきでしょうか?

これまで6回移植をして一度も着床していないということですが、どこに原因があるのでしょうか。

田中先生●着床不全の状態であると思われますが、その原因についてははっきりわかりません。この方のようなケースを含め、着床不全について、現代の医学では解明できない部分がまだたくさんあります。
 最近では着床不全に関する新しい検査も行われ、着床の窓のズレを調べるERA、子宮内フローラや慢性子宮内膜炎の有無を調べるEMMA、ALICEなどがあります。
 Waiwaiさんが治療を受けている施設は専門的で、子宮鏡をはじめ、今受けられる着床不全の検査をすべて実施しています。不育症の検査も受けられて、甲状腺機能にやや問題があるという結果が出たようですが、お薬も服用しており、これが特に着床に影響するということはないと思います。
 ご自身でもビタミンDやラクトフェリンなどサプリメントも積極的に摂っていらっしゃるようですね。受けるべき検査はすべて受け、治療以外でできることもすべてやっている。これ以上、追加することはないように思います。

どのように治療を進めていけばいいのでしょうか。

田中先生●あせる気持ちはご理解できますが、このまま移植を重ねていくことが一番だと思います。当院でもこのような患者さんを診ることがありますが、根気強く移植を繰り返しているうちに妊娠されるケースも少なくありません。
 この方は年齢がまだそれほど高くなく、卵子がしっかり採れて良好胚もできています。まだまだ希望を持てると思いますね。考えていらっしゃるように、これまで続けて移植をされてきたなら、一度治療を休むというのもいと思います。ストレスは妊娠に良くない影響を与えることもあるので、2カ月くらい治療のことをまったく考えない期間を作ってもいいのでは。
 気持ち的に納得できないようならセカンドオピニオンを受けてもいいかと思いますが、今の時点で転院をするのはどうでしょうか。卵子の作り方や検査など、今通っている施設は正しい選択をされていると思います。これまでの治療や体質的なクセなどデータも蓄積されているので、同じ施設で治療を継続されたほうがいいのではないでしょうか。お休みを取りながら、前向きに治療を続けていっていただきたいですね。
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