【Q&A】胚盤胞を増やしたい~浅田先生

もちきなこさん (38歳)
38歳 AMH0.92(37歳時点)今まで採卵3回行いました。
一度目は低刺激で5個(うち1個が未成熟卵)
二度目は低刺激で4個(うち1個が未成熟卵)
三度目は高刺激で3個取れました。
胚盤胞は一度目はふりかけ法で受精卵ができず全滅、二度目、三度目は顕微授精で一つずつできました。次の移植がうまくいかない場合、また採卵になりそうですが、取れる卵子の個数が減ってきているのが心配です。三度目は残留卵胞があり採卵日は生理開始日より30日目でした。卵巣が衰えているのでしょうか?採卵数、胚盤胞を増やすために何か
できることはありますでしょうか?

浅田先生に聞いてきました

浅田レディースクリニック 浅田義正 先生
名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

AMHが0.92ということは、卵巣予備能は高い方ではないため、1回の採卵でたくさんの卵子が採れる方ではありません。

1回目・2回目は低刺激で、3回目は高刺激と書かれていますが、そもそも低刺激がよい、あるいは高刺激がよいと言っているような卵巣刺激ではだめだというのが私の意見です。

38年間眠りについていた卵子が育ち始めるのは、排卵の約半年前と言われています。

そのときの卵子が多いか少ないかを表しているのがAMHの値です

それに対して卵巣刺激をしてしっかり成熟卵を採ることが大切ですが、わざわざ低刺激で成熟卵を少ない数にするのは余計妊娠率が落ちるのでもったいない話です。

卵子が少ない場合に、注射をたくさん打ちすぎても成熟卵を採ることに支障はありませんが、採れる卵子が増えるわけではなくその注射代がもったいないので、卵巣刺激というのは、卵巣予備能(AMHの値)に見合った適切な調節卵巣刺激しかありません。

排卵の半年前から育つ卵子というのは、偶発的に育つため、その数は例え同じAMHの値であっても多少多い、少ないということがあります。

どのような刺激をしたからこのような卵子数になったということではありません。
5ヶ月程育った卵子の最後の仕上げが卵巣刺激と考えてください。残留卵胞があるから月経が遅くなったというのは、私には納得できません。
また、卵巣が衰えているということではありません。
どれほど刺激を強くしても卵巣予備能以上の卵子の数は採れません。胚盤胞到達率を高めるには、成熟卵を適切に取らなければなりません。

未熟卵を採取しても治療には使えないからです。
生まれる前に一度だけ作成され、それから眠りについている卵子の中の遺伝子を再稼働する操作が卵巣刺激です。

それが適切に行われていなければ、その後の受精率も胚盤胞到達率も全て悪くなり、ひいては妊娠率も悪くなります。

質問者さんが選択しなければいけないのは、低刺激がよいあるいは高刺激がよいという話ではなく、適切な卵巣刺激ができる施設・医師のもとへ変わって治療することが重要であると考えます。

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