子宮内膜が薄い場合、どんな方法で治療を続けたらいい?

ノア・ウィメンズクリニック 田中 宏明 先生 聖マリアンナ医科大学卒業。慶應義塾大学病院、東京歯科大学市川総合病院リプロダクションセンター、海老名総合病院などで約25 年間にわたり不妊と周産期医療に携わる。2018年、ノア・ウィメンズクリニック院長に就任。一人ひとりの生き方に配慮した、オンリーワンの診療に努める。医学博士(大阪医科大学)、日本産科婦人科学会認定専門医。
相談者 : れいさん(29歳)不妊治療をはじめて1年。生理の乱れや卵胞ができていないということがあり、クロミッド®を処方されていました。1、2回目はうまくいかず、3回目は卵胞が18.7mmで1つ育ったのですが、子宮内膜が4.2mmしかなく、先生から薄すぎるといわれました。そして、クロミッド®は今後処方できないとも。その時に、子宮内膜が厚くなるようにプレマリン®を処方して人工授精をするようすすめられました。でも夫の精子の質が悪いと指摘され、今後どうしていいか困惑しています。
子宮内膜が厚くならないのはクロミッドRによる副作用なのでしょうか。
田中先生● 確かにクロミッドRを長期服用すると子宮内膜が薄くなったり、頸管粘液が減ってしまうという副作用が出ることがあります。しかし、3回の服用で悪い反応が出てしまう方は少ないのでは。クロミッドRによる副作用ではなく、もともと子宮内膜が厚くなりにくい方なのかもしれません。
 一般的に見て4.2mmというのはやはり薄いと思います。排卵前だと8mm前後が望ましいですね。れいさんは排卵障害があるとのこと。このような方の場合、排卵誘発剤を使っていくことは必須だと思いますので、クロミッドRを使わないということなら、別の種類のお薬、たとえばセキソビットRや、保険適用外になりますがフェマーラRなどの飲み薬に替える、もしくはHMGの注射を使って排卵にもっていくことになるかと思います。
 担当医も、クロミッドRに代わるお薬ややり方をいろいろ考えていらっしゃるところなのではないでしょうか。
人工授精にも挑戦しようと思っていらっしゃるようですが。
田中先生●いざ人工授精をしようとしたら、ご主人の精子の質が良くなかったとのこと。調整後の精子濃度は3000万/ml、運動率45%、直進率30%。精子の数と運動率に関しては問題なく、直進率は若干低めという程度でそこまで悪くありません。精子の状態は1回目に悪くても、2回目は問題ないこともあります。男性側に関してはここで落胆するのではなく、何回か続けてデータを見てもいいのではないでしょうか。
プレマリンRの処方に関してはどう思われますか。
田中先生●担当医の先生から「着床まで1週間の間に子宮内膜が厚くなるようにプレマリンRを処方する」といわれたそうですね。このお薬を併用するのは良いことだと思います。プレマリンRを飲んで子宮内膜が厚くなる方もいらっしゃいますから。
 ただ子宮内膜が薄くなる原因は不明で、残念ながら特効的な治療法はありません。今、おすすめしているのは、プレマリンRのほか、子宮内膜の血流改善のためにビタミンEなどのサプリメントを摂ることなどです。
 まだ年齢が29歳で、タイミング法3回でステップアップした段階。今後の治療については、クロミッドRが不安ならそれ以外の飲み薬や注射で排卵誘発をしながら、人工授精を4回くらい続けていってもいいのではないでしょうか。
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