【Q&A】薬を服用すべきか自然周期を選ぶべきか〜宇津宮 隆史先生【医師監修】

なーさん(28歳)

薬を飲むと周期は30-32くらいになりますが、内膜が5-6ミリです
ここ2ヶ月は自然周期でしていて、内膜は11-12ミリになりますが周期が33-40になります
薬を飲んだ方が良いのでしょうか?

セント・ルカ産婦人科の宇津宮 隆史先生に伺いました。

【医師監修】セント・ルカ産婦人科 宇津宮 隆史 先生
熊本大学医学部卒業。1988 年九州大学生体防御医学研究所講師、1989 年大分県立病院がんセンター第二婦人科部長を経て、1992年セント・ルカ産婦人科開院。国内でいち早く不妊治療に取り組んだパイオニアの一人。開院以来、妊娠数は 9,500 件を超える。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

なーさんは28歳、多嚢胞性卵巣(PCO)で現在タイミング中ですね。PCOなら、早く妊娠すべきです。なぜなら、PCOは徐々に卵巣機能不全(現在すでにその傾向がありますが)が進行して、妊娠困難になることが見えているからです。しかも先月、オーストラリア中心の国際組織が「PCO」では内容に誤解を招くとして「多内分泌代謝性卵巣症候群:PMOS」と名称を変更する計画が発表されました。要するにPCOは卵巣機能不全に限らず、そのほかの代謝機能にも関与しているという趣旨の様です。それは当院でもPCO患者さんに糖尿病精密検査をすると15%が糖尿病予備軍と診断されていますが、このように卵巣機能だけでなく広く代謝疾患にも注意すべきであるとのメッセージでしょう。しかもこの体質は「遺伝」が大部分ですので今後、進行してゆく傾向にあり、注意が必要です。ですので、なーさんは今、若いうちに的確な治療を受けて早く希望人数の赤ちゃんを得ておいた方が良いと思います。

さて、現在の治療ですが、クロミッドやレトロゾールの作用機序(作用の仕組み)を考えると、むしろ、自己注射のFSH(ゴナールFやフォリスチム)が妊娠率ははるかに高いです。なぜなら、クロミッドやレトロゾールは抗エストロゲン作用があるからです。抗エストロゲン作用で内膜が薄くなり、着床不全になります。よって、これらでは排卵率は高いが妊娠率は低い、となります。しかし作用がマイルドで飲むだけですので使いやすく、よく使用されています。
よって、FSHの方がおすすめです。ただし、FSH自己注射は過剰反応に注意が必要です。その結果、多胎妊娠や卵巣腫大、腹水貯留の段階になると入院治療と進行することもあり、注意深い指導が必須ですので、FSHの使用に慣れたクリニック(体外受精を行っているところ)で治療したほうが良いでしょう。
自然周期にすると、徐々に排卵までの日にちが延び延びになってゆくと思います。そのうち、排卵もしなくなり、月経も2~3ヵ月なくなり、などと進行してゆくのは目に見えています。

そうなれば糖尿病の精密検査をした方が良いと思います。糖尿病の怖いところは、自覚症状がないことです。普通の検診ではわかりません。30歳代に入ったら2-3年ごと、35歳以上では毎年精密検査をすべきです。また、ご家族にもその知識は必要と思います。何しろ「遺伝」ですから。特に女性では子宮体癌も子宮頸がんと同じ割合で発生する可能性があります。特に40歳以上の方は注意してください。

しかしPCOの方は卵子をたくさん持っていますので、最終的には何人でも赤ちゃんはできます。当院ではタイミング法で51歳、体外受精で48歳が最高年齢で、その方々もPCOでした。PCOは妊娠しやすい。しかし糖尿病や卵巣機能不全、多胎妊娠、卵巣腫大、体外受精になると卵巣過剰刺激症候群(OHSS)にも注意が必要、と、要注意がたくさんです。
でも先行きは明るい。頑張ってください。

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