【Q&A】化学流産後の治療方針とクリニック選択について〜小川 誠司先生【医師監修】

ビスマルクさん(25歳)

① 今回の化学流産を踏まえた今後の治療について

1回目の胚移植(6日目3BB)で化学流産となりました。
今回の結果を踏まえ、次回の3BC移植前に追加検査や、内膜・ホルモン補充・黄体ホルモンなど治療内容の変更を検討した方がよいでしょうか?

現在のクリニックでは「卵が良ければ妊娠できる」という考えのもと、初回採卵時はふりかけ法のみ、初回移植時はAHAやヒアルロン酸使用なし、先進医療や追加検査をあまり推奨していない点も不安に感じています。

② 残っている5日目3BC×2個について

今後の移植方針について相談したいです。2回目の移植も陰性だった場合、残っている3BCを破棄して転院し、転院先で採卵から治療を再スタートすることは可能でしょうか?

③ 今回の採卵・受精結果について

25歳・AMH1.2、ふりかけ法で、
採卵16個→成熟13個→正常受精5個→胚盤胞3個(5日目3BC×2、6日目3BB×1)でした。

この結果は年齢を考慮してどのように評価されますか?また、次回採卵する場合、顕微授精への変更を検討した方がよいでしょうか?

④今回の治療結果を客観的に評価したうえで、現在のクリニックで治療を継続するべきか、転院して治療方針を見直すべきかについても、率直なご意見を伺いたいです。

東京ARTクリニックの小川 誠司先生に伺いました。

【医師監修】東京ARTクリニック 小川 誠司 先生
2004 年名古屋市立大学医学部卒業。2014 年慶應義塾大学病院産婦人科助教、2018 年荻窪病院・虹クリニック、2019 年那須赤十字病院産婦人科副部長、仙台ART クリニック副院長を経て2023年9月、藤田医科大学東京 先端医療研究センターの講師、2024年4月に准教授に就任。2026年2月から東京ARTクリニックの院長に就任。藤田医科大学客員准教授。日本産科婦人科学会専門医。日本生殖医療学会専門医。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

1)今後の胚移植について
今回が初回の胚移植であり、化学流産という結果であったことから、胚側の要因であった可能性も否定できません。そのため、現時点ですぐに着床不全を疑って追加検査を行うよりも、まずは再度胚移植を行うことをお勧めします。
また、少し方法を変えて移植を行うのであれば、ホルモン補充周期ではなく、排卵周期(自然周期)での胚移植を試してみることも一つの選択肢だと思います。

2)受精方法について
今回の受精率は5/13(38.5%)と低いため、次回採卵を行う場合には、すべての卵子に顕微授精(ICSI)を行う方法、あるいは通常媒精(IVF)と顕微授精を組み合わせるSplit法を検討されることをお勧めします。

3)今回の採卵結果について
今回の採卵周期を振り返りますと、発育した卵胞数や採卵数については大きな問題はないと考えます。
一方で、受精率が低いことに加え、ご年齢を考慮すると良好胚盤胞の獲得率もやや低い印象です。そのため、次回採卵を行う場合には、今回と同じ方法をそのまま繰り返すのではなく、受精方法を含めて治療内容を再検討することが望ましいと思います。

4)現在のクリニックで治療を継続するかについて
次回の移植あるいは採卵に際して、今回の治療結果を十分に振り返り、その結果を踏まえて移植方法や卵巣刺激法、受精方法などを柔軟に変更していただけるのであれば、現在のクリニックで治療を継続されてもよいと思います。
一方、今回の結果について十分な検討がないまま、同じ治療方法を繰り返し提案されるようであれば、他院でセカンドオピニオンを受けたり、転院を検討したりすることも選択肢になると思います。

5)今後の具体的な治療方針について
まずは、残っている3BCの胚盤胞を排卵周期(自然周期)で移植されることをお勧めします。
3BCは形態評価としては良好胚盤胞には分類されませんが、ご年齢が若い場合には、形態評価が低い胚盤胞であっても染色体正常胚である可能性は十分にあります。そのため、現時点で移植を諦める必要はなく、まずはこの胚を用いて再度移植を行う価値があると考えます。
それでも妊娠に至らなかった場合には、卵巣刺激法や受精方法を見直したうえで、再度採卵を検討されることをお勧めします。その際の受精方法としては、Split法、あるいは全卵ICSIを検討してもよいと思います。
また、これまで精液所見に大きな問題がないにもかかわらず人工授精を複数回行っても妊娠に至らず、今回の通常媒精でも受精率が低かったという経過を考えると、受精過程に何らかの問題が存在する可能性も考慮する必要があります。

6)検査結果について
ご記載いただいた検査結果については、現時点で特に大きな問題は認められません。
今回の結果だけで妊娠が難しいと判断する必要はありません。残っている胚の移植を行い、その結果を踏まえて、必要に応じて刺激法や受精方法を見直しながら治療を進めていくことが大切だと思います。
ご年齢やこれまでの治療経過を考慮すると、今後も十分に妊娠を期待できる状況だと考えます。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。