【Q&A】多胎妊娠リスクとPGT-A検査の必要性について〜宇津宮 隆史先生【医師監修】

まるさん(29歳)

私は、2024年より不妊治療のためクリニックに通院しています。
今後の治療や検査のアドバイスをいただければ、幸いです。

これまでの検査・治療の結果から、下記の質問をさせていただきたいです。
①2個移植することについて、多胎妊娠となるリスクなどがあるかと思いますが、このような状況であれば、2個移植を積極的にすべきでしょうか。

②私が住む県には、PGT-Aなどの検査ができる医療機関がなく、もし遺伝子の関係で上手くいかないのであれば、治療や検査は難しいと考えています。
4回目移植も上手くいかなかった場合、5.6回目は必ず2個移植にするなど、治療についてご意見をいただけますと幸いです。

③他の検査を実施するなど、今後できることや、できると良いと考えることはありますか。

セント・ルカ産婦人科の宇津宮 隆史先生に伺いました。

【医師監修】セント・ルカ産婦人科 宇津宮 隆史 先生
熊本大学医学部卒業。1988 年九州大学生体防御医学研究所講師、1989 年大分県立病院がんセンター第二婦人科部長を経て、1992年セント・ルカ産婦人科開院。国内でいち早く不妊治療に取り組んだパイオニアの一人。開院以来、妊娠数は 9,500 件を超える。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

2個移植はなるべく避けたいところですが、移植回数で制限されている現在の制度下ではやむを得ないでしょう。実際、双子が増加しています。年齢制限、回数制限は憲法25条の「国民は健康な生活をする権利がある」に反しています。IVFは保険適用されたのだから国民だれでも、何回でも、何歳になってもIVF治療をうける権利があります。その証拠に人工授精をはじめそのほかの不妊症治療には制限はありません。よって、患者さんと我々が一緒になって声を上げるべきです。厚労省にメールで抗議しましょう。当院からは何通も厚労省と県庁にメールが届いているはずです。
2個移植は、年齢、体形(小柄、極端な痩せ、肥満など)、子宮への過去の侵襲(筋腫核出術や帝王切開など)、子宮の形態異常(双角子宮や単角子宮、経管無力症など)、他の持病などを見て決めます。多胎妊娠は思いのほかリスクを伴いますので軽々しく受け取らないように。
現在不妊治療の最先端はPGT-Aと言ってよいと思います。当院にも他県から(熊本、広島、埼玉、宮崎など)PGTを求めて患者さんが来ています。妊娠率70%、流産率10%ですが(最近少し下がりました)、するなら私費です。正常胚盤胞は25%ですから4個は検査したい。私費なら1回のIVFとPGT-Aで80万円ほどかかりますが、そのメリットはあるか否か、難しいところです。PGTが保険適用されるのは早くて4-5年先でしょう。

PCOですので、多数の胚盤胞ができるはずですが、少ない。調節刺激法、特に最後のhCGの量と採卵までの時間を工夫すれば、もっと胚盤胞ができると思われます。
また排卵誘発周期での移植ならレトロゾール法は不適(レトロゾールの作用機序からエストロゲンが少なくなるので内膜が薄くなる)で、少量FSHで排卵周期を作るか、HRT(ホルモン補充周期:エストロゲンパッチ貼付+プロゲステロン膣座薬)が良い。まるさんはPCOですので、HRTが良いと思います。
まるさんはPCOですのできっとうまくいくと思います。子宮内膜炎やフローラ検査など、エビデンスのない方法にお金をかけるのではなく、多数胚盤胞が得られる方法でPGTを行い、正常胚をホルモン補充法で移植すればきっとうまくいきます。

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