3日目8分割の初期胚 ~浅田先生

受精して、いざ移植となっても、色々な方法があるようですね。

両卵管が閉塞していた場合・・・初期胚の移植はどうなのでしょう?

浅田先生にお聞きしました

 

浅田レディースクリニック浅田義正先生  名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。

みーさん(25歳)

胚盤胞移植化学流産におわりました。

残ってる卵は、初期胚しかありません。

初期胚は卵管で成熟して胚盤胞になって子宮に着床するとネットで見ました。両側卵管閉塞の不妊に初期胚移植は 可能なのでしょうか。

また、初期胚移植での妊娠率はとても低いのでしょうか。

体外受精は、もともと両側卵管閉塞の人を対象に始まりました。

最初の頃は培養技術が未熟なために胚盤胞まで培養できず、初期胚、1日目、2日目、3日目、と徐々に培養期間が長くなり、今では胚盤胞まで培養が可能になりました。

卵管の中で育つものを子宮に戻したら育ちが悪くなるのではないか、という議論も初期にはありましたが、全く心配しなくて良いと思います。問題となるのは卵の中身で、初期胚だから妊娠率が低いというわけではありません。胚盤胞は見た目の妊娠率が上がりますが、これは初期胚から胚盤胞に育つ間に、染色体異常やその他の原因で成長が止まる卵があるためです。30個の卵で一人の赤ちゃんが生まれる場合、妊娠率は1/30ですが、胚盤胞まで育つものが15個だとすると、見た目の妊娠率は1/15になります。これは、培養していく間に卵が元気になっていくということではありません。

逆に、現在の培養の技術は100%確立されたものではありません。培養法の進化とともに、少しずつ培養の期間が長くなってきました。早く移植していたら赤ちゃんまで育ったはずの卵を、長期培養で弱ってから移植している可能性も否定できません。

もともと卵管閉塞の人を対象に始まった体外受精です。ネット上の情報に惑わされないようにしましょう。みーさんの場合、二人目不妊で、ご夫婦の受精卵の遺伝子の組み合わせがそこまで悪いとは思いません。たくさんの受精卵を確実に獲得し、そのうえで成長の良いものを選んで移植することで初めて妊娠率が上がりますので、そのような方針の施設で治療を受けていただきたいと思います。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。