【Q&A】妊娠初期の症状について~船曳先生【医師監修】

Uさん(27歳)

今まで生理前は胸の張りがすごかったが、クロミッド、排卵注射、ルトラールを飲んだら胸の張りが全くなくなりました。
このようなことはあるのでしょうか。
症状は人それぞれと言いますが、妊娠初期は乳房が服で擦れるたびに痛いというのをよくみます。
全く胸の張りがないとなると妊娠可能性はないのでしょうか。

船曳先生にお話を伺いました

【医師監修】オーク銀座レディースクリニック 船曳美也子 先生
日本生殖医学会生殖医療専門医・指導医。日本産科婦人科学会専門医。母体保護法指定医。神戸大学文学部心理学科、兵庫医科大学卒業。兵庫医科大学、西宮中央市民病院、パルモア病院勤務を経て医療法人オーク会へ。エジンバラ大学で未成熟卵の培養法などを学んだ技術と自らの不妊体験を生かし、患者さんのライフスタイルなどに合った診療を行う。また、早くから不妊と肥満の関係性に着目し、2ヶ月で14kgの減量に成功した患者様の排卵障害が改善したことから、ダイエット・プログラムを発案。国内外の学会発表多数あり。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
乳房は、乳汁をつくる乳腺と、周囲の脂肪・血管などからできています。女性ホルモンは、乳腺を増大させ、血管の血液量をふやします。黄体ホルモンは、乳腺の乳汁分泌能を高め、血管周囲の細胞外液をふやします。
月経前の7日間は女性ホルモンと黄体ホルモンが上昇していますので、これらホルモンによる乳房の発達と血液量の増加、むくみが生じ、乳房のはりと感じます。

クロミッドは体の細胞の女性ホルモン受容体にくっつき、局所の女性ホルモン不足をつくることで、脳が女性ホルモン不足を感じ、卵巣を刺激して卵胞を育てます。同時に、女性ホルモン受容体をもつ局所の細胞は、女性ホルモンが少ない反応をする場合があります。子宮頚部であれば、頸管粘液が減るという症状がでます。乳房への影響は不明ですが、乳房のはりがないことは妊娠には影響しません。ただ、排卵時の頸管粘液が減る、月経量が少なくなる場合は、タイミングでの妊娠しやすさに影響する可能性があるので、医師に相談ください。

妊娠により、HCGというホルモンが増え、女性ホルモンと黄体ホルモンが増えますので、月経前の症状が持続します。ただ、症状は個人差が大きく、乳房のはりをふくめ非常に敏感な方もいらっしゃれば、妊娠に全く気付かない、変化のない方も多くおられるので、胸の張りがないから妊娠の可能性がないわけではありません。

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