【用語集】胚盤胞移植

難しい用語がいろいろと出てくる不妊治療の現場。

治療でよく聞く用語だけど、あまり正確に知らないものも多いのでは?

勘違いや思い込みを防ぐためにもしっかり確認しておきましょう。

クリニックの先生に用語の解説をしていただきました。

胚盤胞移植

体外受精-胚移植で、胚の着床率を高めるために、胚盤胞まで培養した胚を子宮内に移植する方法です。

自然妊娠では、卵管内で受精をした受精卵は、細胞分裂を繰り返しながら子宮に向かって移動していきます。

受精後2~3日で4~8分割した状態の初期胚になります。

体外受精では、近年培養液がより進歩するまで、この段階の胚を子宮内に移植するのが普通でした。

そして3~4日目で桑実胚に、さらに4~6日目に100個ほどの細胞からなる胚盤胞になります。

胚盤胞の内側には胎児になる細胞塊があり、外側は胎盤や胎児を包む膜となる栄養膜で覆われています。

自然妊娠ではちょうど子宮に着床するころの状態です。

ここまで発育した胚=胚盤胞を移植するので、胚盤胞移植は初期胚を移植するより一般的に着床率が高くなります。

しかし自然では胚が卵管で育っている間、絶えず子宮に着床の準備をするようメッセージを送っており、体外受精ではこのメッセージがこないため、一部の人で良い胚盤胞を移植しても着床しないことがあります。

こうした人には、かえって初期胚移植や、その他、2段階移植、自己リンパ球子宮内注入などが有効のことがあります。

また高齢者や重症な卵巣機能障害例では長期培養でかえって胚の生存性が下がり、妊娠率が下がることもあります。

神野 正雄 先生

神野 正雄 先生 日本生殖医学会生殖医療専門医。1980年、慶應義塾大学医学部卒業、慶應義塾大学大学院にて体外受精を開始、日本最初の双胎妊娠に成功。米国Eastern Virginia Medical School留学、慶應義塾大学産婦人科助手、杏林大学医学部産婦人科准教授を経て2004年、ウイメンズクリニック神野院長就任。
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