【Q&A】子宮内膜炎の再発リスクと自然妊娠の可能性について〜林 直樹先生【医師監修】

みほさん(28歳)

昨年12月の稽留流産後、翌月1月に子宮鏡の検査を行い、子宮内膜炎(炎症場所は卵管口)が発覚。ビブラマイシンにて治療し、3月に再検査を行い陰性を確認済みです。子宮内膜炎は再発しやすいのでしょうか?
再発しやすい場合、何ヶ月後に子宮内膜炎の再検査と定期検査をするべきでしょうか?

現在は不妊治療を休んでいますが、自然妊娠の可能性はまだありますでしょうか?(原因不明の不妊もあることは承知です)
自然妊娠への期待もまだあり、子宮内膜炎が原因の不妊、流産を防ぎたい気持ちがあります。

ウィメンズクリニックふじみ野の林 直樹先生に伺いました。

【医師監修】ウィメンズクリニックふじみ野 林 直樹 先生
1983年、東京大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療 センター(川越市)などを経て、現職。「体外受精、顕微授精も高いクオリティで対応していますが、できる限り自然に近い不妊治療をご提供したいと考えています。 患者さんはそれぞれお悩みも違いますから、どんなこと でもまずご相談を。時にはご要望に沿えず、厳しいこと を申し上げるかもしれませんが、常に患者さんにとって ベストな治療法をご一緒に見出したいと思っています」。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

【質問1】慢性子宮内膜炎は再発しやすいですか?
結論として、治療後に改善した方の多くはそのまま良好な状態を維持します。風邪のように何度も自然に繰り返す病気ではありません。
ただし、以下のような要因がある場合には再発することがあります。
・細菌感染が繰り返される
・子宮内操作(流産手術、子宮鏡手術など)
・子宮内膜ポリープ
・子宮内避妊具(IUD)
・卵管留水症

[みほさんの場合]すでにビブラマイシンでの治療を終えており、子宮内フローラも「Lactobacillus 100%」と理想的な状態です。明らかな感染源も見当たらないため、再発リスクはそれほど高くないと考えられます。

【質問2】どのくらいの頻度で検査すればよいですか?
半年ごとや毎年といった「定期的な検査」は通常必要ありません。現在の不妊治療における一般的な考え方は以下の通りです。
治療 → (必要に応じて)再検査 → 改善の確認 → 終了

みほさんはすでに3月に陰性を確認されているため、このプロセスは完了しています。今後、再び検査を検討するのは以下のようなタイミングです。
・その後も何度も着床しない(反復着床障害)
・流産を繰り返す
・新たに子宮内操作を受けた

過度に心配してスケジュールに沿った定期検査を行う必要はありませんので、どうぞご安心ください。

【質問3】自然妊娠の可能性はありますか?
私は、十分にあると考えています。そう考える理由は以下の通りです。
・28歳という非常に若い年齢(もっとも大きな強みです)
・卵巣予備能(AMH 4.42)が十分にある
・ご主人の精索静脈瘤手術後、精液所見が正常まで回復している
・顕微授精(ICSI)で2回とも妊娠に至っている(受精能力・着床能力が証明されています)

確かに、軽度の子宮腺筋症や両側2cm程度の子宮内膜症は、妊娠率を少し低下させる因子ではあります。しかし、これらは年齢の若さや現在の良好な各種データで十分にカバーできる範囲です。また、精索静脈瘤の手術後は、術後6〜12か月ほど経ってから自然妊娠されるご夫婦も少なくありません。 現在お休み中とのことですが、ご自身たちでの妊活も大いに期待が持てます。

【質問4】慢性子宮内膜炎は不妊や流産に影響しますか?
はい、影響を及ぼすと考えられています。
慢性子宮内膜炎が起きていると、子宮内膜に炎症細胞(形質細胞)が増え、以下のようなリスクが高まると報告されています。
・着床の妨げになる(着床不全)
・初期流産のリスクが高まる

しかし、「治療によって改善すれば、妊娠率や生児獲得率(無事に出産できる確率)も改善する」という報告が多数あります。みほさんは抗菌薬治療を終え、子宮内フローラも良好ですので、内膜炎による悪影響はすでにリセット(軽減)されていると考えて大丈夫です。

【質問5】再発を防ぐ生活習慣はありますか?
特別に何かをしなければならない、ということはありません。一般的な予防策としては以下が挙げられますが、すでに意識されている健康的な生活を続けていただければ十分です
・性感染症の予防
・腟洗浄(ビデなど)のやりすぎを避ける(善玉菌が流れてしまうため)
・必要以上の抗菌薬を使用しない
・禁煙、バランスの良い食事、適正体重の維持

現在、子宮内環境は「ラクトバチルス100%」というこれ以上ないベストな状態です。無理に新しいサプリメントや乳酸菌製剤を追加する必要はありません。 今の習慣に自信を持ってくださいね。

【ドクターからみほさんへ一番伝えたいこと】
これまでの治療お疲れ様でした。データを見せていただくと、28歳という若さ、2回の移植でいずれも妊娠が成立した事実、ご主人の劇的な精液所見の改善、そして子宮内膜炎の完治と完璧な子宮内フローラ……これらはすべて、ご夫婦に「妊娠する力が十分に備わっている」ことを証明しています。
12週未満の初期流産の多くは、受精卵の偶発的な染色体異常によるもので、みほさんのせいでも、内膜炎のせいでもありません。現在は子宮内環境もリセットされ、非常に良い状態が整っています。
再発を心配して検査を繰り返す必要はありません。お休み期間中の自然妊娠も十分に期待できますし、もし今後「やはり体外受精(顕微授精)を再開しよう」と思われたときも、年齢やこれまでの経過から見て、赤ちゃんを授かれる可能性は極めて高いと考えています。
今は心と体を少し休めつつ、ご夫婦のペースを大切に進んでいってください。応援しています。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。