低AMH、高FSHの治療の継続について

妊娠に大きく関わると言われる「AMH(アンチミューラリアンホルモン)」と「FSH(卵胞刺激ホルモン)」数値。年齢にあわせてどのような治療を選択すればよいのでしょう? 三軒茶屋ARTレディースクリニックの坂口健一郎先生にお答えいただきます。

坂口健一郎先生(三軒茶屋ARTレディースクリニック)1999年 防衛医科大学卒。大学病院をはじめ、不妊治療を専門とする木場公園クリニック、リプロダクションクリニック東京などの勤務を経て、2019年「三軒茶屋ARTレディースクリニック」を開院。患者さんとの対話を第一に、スピード感をもった治療方法を提案。また、体外受精(ART)に精通したスタッフがそろい、妊娠に向けてのサポート体制も十分。

 

相談者 helenさん(40歳)37歳から不妊治療を考え、大学病院で卵管の検査等を進めながら、仕事の調整をするまでは職場近くのクリニックでタイミングを試していました。過去2回高温期が20日くらい続いて期待しましたが、妊娠に至らず、人工授精を考え2月にクロミッドを使用。卵胞の確認ができず血液検査をしたところ、FSHの数値が78.2mlに。カウフマン療法を3カ月行いましたが、その後のFSHも62.7mlでした(不妊治療前はAMH0.1ng/mくらい、FSH10mlくらい)。32歳の時に左側のチョコレート嚢胞の腹腔鏡手術済。現在数センチの筋腫が2,3個ありますが、着床には問題ないだろうと言われ切除は勧められていません。あと、1,2年は治療を継続したいのですが、この治療以外にできることはありますか?

AMHの値が1ng/mを下回っているのは、年齢的には43歳相当だと考えます。私のクリニックの場合、AMHの値が正常であることが前提で、40~42歳の方の場合、人工授精は1回のみおすすめしています。その人工授精でも妊娠率は全年齢併せて8~10%です。1回の人工授精で妊娠に至らない場合、体外受精へのステップアップをご提案しています。今の状態だとなかなか卵子が育たず、時間ばかりが経過してしまい、ご年齢的にも効率が悪いのではないかと考えます。

helenさんにはほかに何か検査する必要がありますか?

過去に左の卵巣にできたチョコレート嚢胞の手術をされたということですが、それでもAMHの値が低い原因を探る必要があると思います。当院では、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)、テストステロン、ビタミンDの検査をしています。DHEAは酵素により変換されテストステロンに、さらにテストステロンが変換されてエストラジオール(E2)になります。エストラジオールは内膜を増殖させ、頸管粘液の分泌を高めるなどの働きをする大切な女性ホルモンです。

また、ビタミンDは卵の数や質の低下、不育症にも関わると言われているビタミンです。血液検査でこれらが不足している場合、補っていく必要があり、また補給するだけでなく、基準値に達しているかの経過観察も必要になってきます。

このまま同じ治療を続けるべきですか?

現在helenさんが行っているカウフマン療法は不足しているホルモンを投与して自然な周期を整えるもので、確かにFSHが下がり卵胞が育つということもあります。ただ、エストロゲンが投与されないとFSHはまた上がります。62.7という数値がどのタイミングのものなのかわかりませんが、年齢とともにFSHの数値はどんどん上がるのも事実です。

ご年齢を考えると、私ならこのまま同じ治療を続けるより、少しでも早い体外受精へのステップアップをおすすめします。40歳でも出産率は9%と言われていますので、時間は限られています。まずは「卵を育てる環境を作りながら採卵を最優先」させることが必要でしょう。移植ならもっと年齢が上がってもできることなので、とにかく1個でも多くの胚を確保しておくことをぜひおすすめします。子宮筋腫があるとのこと、こちらも5㎝以上の筋層内筋腫や粘膜下筋腫でなければ経過観察で大丈夫だと思います。治療をステップアップするにあたってはご主人の意向も大事なので、ぜひご夫婦で話し合ってみてください。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。