多囊胞性卵巣症候

ック 岩見 菜々子  先生札幌医科大学卒業。2014 年より神谷レディース クリニック勤務。日本生殖医学会生殖医療専門 医。日本産科婦人科学会認定専門医。日本抗加 齢医学会専門医。

みけさん(36歳)16 歳の初潮からずっと生理不順。20 代で多囊胞性卵巣症候 群と診断されました。ずっと無排卵でしたので、妊活を始めて すぐに治療をスタート。排卵誘発剤をいろいろ試しましたが、 どの周期も卵胞が育たず、一度も排卵していません。エス トラジオールも毎回 38 〜 40pg/ml くらいです。LH は高め ですが FSH は正常値。これからどのように治療していけば いいのでしょうか。体外受精をするとすれば、排卵誘発剤の 量を増やせば採卵できる卵胞が育ちますか?

 

多囊胞性卵巣症候群と、どのよう疾患なのでしょうか

岩見先生●多囊胞性卵巣症候群は生殖年齢女性の10  〜15  %に発症する病気です。卵子はたくさんあるのですが、卵胞が大きくなりにくい成熟障害と、卵巣表面の被膜が厚くなって排卵しにくい排卵障害、排卵誘発に時間がかかることで起きる黄体機能不全が不妊の原因になるといわれています。月経不順があり、超音波検査で卵巣に小さな囊胞がたくさん確認できること、血液中の男性ホルモンが高値で、LHがFSHよりも高値であることが診断基準です。

治療内容で気になる点はありますか

岩見先生●AMHの検査をされていな いようですので、検査をしてみてもいいかなと思います。AMH値が10ng/ml を超えていると排卵誘発剤が普 通の使用量では効きにくい可能性がありますが、検査結果は今後の排卵誘発剤の使い方の判断基準になります。同時に、空腹時の血糖値とインスリンを測定し、インスリン抵抗性を検査したり、男性ホルモンの数値も検査してみることをおすすめいたします。

ステロイドのような作用がある柴苓湯は、男性ホルモンの改善を期待した処方かと思いますが、効果がなけ  ればLHやFSHのバランスを整える温経湯が有効な場合もあります。漢方薬の切り替えも一つの選択肢です。

今後の治療法についてアドバイスを願いします

岩見先生●みけさんは排卵誘発剤の量を増やして卵胞が育つかと尋ねられていますが、当院では、薬の増量が有効かを調べる  LH   RH負荷テストをおすすめしています。反応があれば排卵誘発剤の注射を増量することで卵胞が育つ可能性があります。 ただ、5つ以上の卵胞が育ってしまうと多胎妊娠の可能性があるので、タイミング法をキャンセルしていただくこともあります。できれば、体外受精などのART治療を念頭に進めていくとよいですね。

卵巣に穴を開ける腹腔鏡下卵巣多孔術という手術で排卵しやすくなったり、男性ホルモン値が改善する報告があり   ます。ただ、手術の効果は1  〜  1 年半  程度。年齢を考えると、卵子の加齢も進むためARTのほうが高い妊娠率が得られるのではないかと思います。

また、レトロゾールの増量や再投与などで排卵が起きる患者さんもいらっしゃいます。もう少し自然排卵を考え  たい場合は、多囊胞性卵巣症候群の治療経験があるクリニックへの転院も検討してみるといいでしょう。

 

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