「“二人の違い”を乗り越えるために」

これまで4回にわたる講座で、精液検査など男性側の検査や 男性不妊の原因や詳しい治療法などについて、 京野アートクリニック高輪の京野先生にお聞きしてきました。

最終回は、子づくりや不妊治療に対する男女の考え方の違い、 また、そのギャップを乗り越えるためにどうしたらよいのかを伺います。

京野 廣一 先生  福島県立医科大学卒業後、東北大学医学部産科婦人科学教室入 局。1983年、チームの一員として日本初の体外受精による妊娠出産 に成功。1995年レディースクリニック京野(大崎市)開院、2007年、 京野アートクリニック(仙台市)開院。2012年秋、東京・高輪に新クリ ニック「京野アートクリニック高輪」を開院。今年の目標は「富士山初登 頂」という京野先生。お若い時は八甲田山や蔵王、会津磐梯山など東 北の山々を制覇されたそう。お正月に少し太ってしまったので、その解消 とともに登山に向けてトレーニングを始めているとか。

ご夫婦で来院される方が増え、 男性も徐々に協力的に

不妊治療において、男性と女性のとらえ方や意識には違いがあるといわれていますが、最近ではその温度差がずいぶん縮まってきているような気がしますね。

当院の場合、初診では半数以上の方がご夫婦一緒に来院されています。

どうしても男性が治療に参加しなければいけないケースとして男性不妊がありますが、これまでは男性自身もよくわかっていないということも多かったようです。

不妊というと女性側だけの問題のように思われていましたが、実はその半分近くは男性側にも原因が。

このままではいけないということで、国や自治体でも男性不妊に目を向けるようになってきているようです。

たとえば山形県では昨年の 11 月から特定不妊治療の過程の 一環として、男性不妊治療(精巣から精子を採取する手術等、いわゆる「TESE」や「MESA」など)を行った場合、特定不妊治療費の助成額に原則、男性不妊治療費の4分の1(上限 10 万円)の助成を上乗 せできるようになりました。

このような流れは、男性が不妊治療に積極的に参加してくれる一つのきっかけになると思いますね。

男性不妊の認知が広まり、ひいては無精子症ではない方も「僕もそうかもしれないから、検査を受けてみよう」と啓発されるのではないかと思います。

まず二人でセミナーに 参加することが第一歩

それでもやはり、女性と男性は「産む性」「産まない性」という本能的な違い、または男性が持つプライドのせいなのか、積極的に病院に行こうとしなかったり、検査や治療を受けたがらないという女性側の悩みも多く聞きます。

奥さまからはいいづらい。ご主人も、妻からしつこくいわれたら引いてしまいますよね。

そうなるとご夫婦で解決するのは難しいので、しんどくなってしまったらぜひ、病院が開いている不妊治療のセミナーにご夫婦で参加されることをおすすめします。

セミナーに参加する利点の一つは、他のご夫婦を見られること。

男性は悩みを親しい友人にも打ち明けられず、独りで閉じこもってしまいがち。

一緒に参加している人たちを見て「悩んでいるのは自分たちだけではなく、こんなにいるんだ」と安心して、ハードルがぐっと低くなるはずです。

また、特に男性は医学的な説明や、数値での裏づけがあるものを信用するという部分があります。

妻から個人的な感情も含まれた話を聞くよりも、医療者からデータに基づいた客観的な情報を聞くほうが理解しやすいし、冷静に受け止められるのではないかと思います。

とにかく、一度セミナーに参加したり、医師から話を聞くだけで、ご主人の気持ちはずいぶん変わってくると思いますよ。

男性は検査をして1回か2回で済んでしまうし、特別痛みもない。

よくわからないものに対しては抵抗やおそれがあると思いますが、一度詳しく知ってしまえば、その後はスムーズにいくのではないでしょうか。

男性と女性では子づくりへの 意識が異なることも妊娠についてあまり知識のない男性の場合は、治療が始まってからも「体外受精は絶対嫌だ。なるべく自然な形がいい」「何で急ぐの?まだ焦らなくていいじゃないか」など、治療法やそのスピードなどで奥さま側の考えとすれ違いが起こることがあります。

こういったトラブルをなくすためには、治療を始める前やステップアップの過程で必ずよく話し合って、お二人の気持ちを確認することが大切だと思います。

前述したように男性と女性は生理的な違いだけではなく、子づくりへの意識や感覚的にも異なる部分があります。

ある程度時間をかけてご主人に理解してもらうことが必要だと思いますが、それも難しい場合はカウンセラーなどもうまく活用していただきたいと思います。

不妊治療に関する男性の意識調査

Q.不妊治療の話を切り出したのは どちらからですか?不妊治療に積極的なのはやはり女性が多いようで、切り出した9 割近くが妻。女性のほうが身体的に危機感が強く、不妊治療に 関しての情報にも敏感だからでしょうか。

Q.妻の初診時には一緒に 行きましたか?初診は女性でも不安がいっぱい。夫にも一緒に行ってもらえる と心強いのですが、アンケートでは3割以上の男性から「一緒に 行った」と回答がありました。

Q.夫婦揃って受診したタイミングは?最も多かったのはやはり精液検査の時。こればかりは自分が行か ざるをえない?

Q.初めての検査や婦人科へ行くことに 抵抗はありましたか?抵抗があると答えた男性は4割以上。やはり「積極的に」とはい かないようです。

Q.妻の治療状況(治療内容)について 理解していると思いますか?程度に差はあれども、理解していると答えた男性は8割以上もい ました。夫にわかりやすく伝えるなど妻側の努力もある!?
Q.治療方針ついて、妻と考え方の 相違はありますか?「ない」と答えた人が7割近くでしたが、それは納得して? それと も治療については妻にお任せしているから……?

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