男性不妊の治療中35歳になる前に採卵しておくべき?【医師監修】

【医師監修】内田 昭弘 先生  島根医科大学医学部卒業。同 大学の体外受精チームの一員と して、1987年、島根県での体 外受精による初めての赤ちゃん 誕生に携わる。1997年に内田 クリニック開業。1階は奥様が 副院長を務める内科・胃腸科、 2階が婦人科。地域の産婦人科 と連携を取り、専門性の高い不 妊治療に積極的に取り組む。O 型・おひつじ座。ゴルフはプロ 級の腕前で知られる先生。高校 時代は軟式テニスの選手として、 インターハイや国体で活躍して いたと聞いて納得!
ふぁるこさん(34歳)からの投稿 Q.夫が※塞性無精子症で、顕微鏡下精路再建手術と ※ TESEを実施しました。1年待って精子が出現しな かった場合は顕微授精にステップアップの予定です。 そこで疑問に思っているのが、35歳になる前に採 卵をしておくべきか、ということです。「35歳から卵 の質が落ちる」と聞いて心配です。

夫婦の選択が大切

ご主人の手術後の経過をみている状態ですが、この方は自身の 34 歳という年齢が気になるようです。
内田先生 年齢は統計学的なものですから、あと1ヶ月で 35 歳だから、などと年齢にそれほどこだわらなくていいでしょう。
ご夫妻がなぜ精路再建手術を望まれたのかということを推測すると、おそらく自然妊娠を望まれているからでしょう。
もし手術が成功して、精子が射出精液中に出現してくれれば、顕微授精や体外受精をしなくても妊娠できるかもしれませんからね。
1年間経過をみるというのは、手術を担当されたドクターの判断だと思います。
ここで年齢の壁が関与してくると思いますが、手術をしたということは、なんとか精液中に精子が出てきてほしいと願ってその選択をしたわけだから、1年間は顕微授精に踏みきらずに待ってみる価値はあります。

TESEによる顕微授精

先に卵子を凍結しておくという考えについてはいかがですか?  
内田先生 女性が 30 代後半なら、採卵が先という考え方もあるかもしれません。ただ、卵子凍結というのは、受精卵の凍結ほどまだポピュラーな技術ではありません。
できる施設も限られているはず。
それよりも、ご主人はすでにTESEによって取り出せた精子があるわけですから、診断通り、その精子を使って顕微授精にステップアップするのが、自然な治療の流れでしょうね。

思いを大切に治療を選択

不妊の原因がある程度わかっている分、治療方針も立てやすい?
内田先生 そう。特にご主人に不妊の要因がある場合、なかなか効果的な治療方法のない場合が多いんです。
ふぁるこさんのご主人も、もし非閉塞性の無精子症だったら、精子がいるかどうかもわからず、もっと厳しい状況だったかもしれません。
でも、お二人は間違いなく、顕微授精という手が残っているカップルなのですから、女性の年齢の機を逃さずにステップアップしてほしいですね。
それに、体外受精が不妊治療としてここまで普及している今、手術という選択をされたご主人の想いも大切にしてあげてほしい。
不妊治療をする際に頭に置いてほしいのは、何を目指してその選択をするのかということ。
それが次のステップへとつながっていくのです。
手術を受けてもし結果が思わしくなくても、それは最初にお二人が相談して選択した方針だったはず。
納得して先へ進めたことに意味があると思います。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。