現況からのステップアップについて

タイミング法を1年。そろそろ体外受精に進むべき?

相談者 : りえさん(30歳)令和3年8月より自己流で行う。令和4年3月より通院し、タイミング法を開始して1年間様子をみる。令和5年4月にヒューナーテストを行って問題がなかったため、思い切って体外受精へステップアップすることを視野に入れてもいいと説明を受ける。先生には正規で働いているため、夏頃までタイミング法で行っていきステップアップするかについて考えていきたいと伝えました。現在フェマーラ®を飲みながら続けていますが、今後どのように治療していけばいい?
あいウイメンズクリニック 伊藤 哲 先生 順天堂大学医学部卒業、同大学院修了。順天堂大学医学部産婦人科学教室講師、国際親善総合病院産婦人科医長を経て、1999 年あいウイメンズクリニック開院。日本生殖医学会生殖医療専門医。
そろそろステップアップを考える時期なのでしょうか。
伊藤先生● タイミング法を始めてから1年。自己タイミングも含めるとそろそろ2年経ちますね。印象として、1つの方法を続けるには長い気がします。30歳という年齢ならタイミング法を続ける目安は半年程度だと考えます。
 次のステップとして、ご本人が希望されるなら体外受精に進んでもいいと思いますが、一般的には人工授精をおすすめするケースが多いのではないでしょうか。
 りえさんの場合、通水検査、精液検査の結果が良好で、ヒューナーテストも問題なし。AMH(抗ミュラー管ホルモン)の値は3・77ng/ml。年齢平均でみると少し低めですが、「すぐに体外受精へ進まなくてはいけない」というほどではありません。
 タイミング法より人工授精のほうが妊娠率は高いので、まだ30歳という年齢なら次は人工授精にトライしてもいいのでは? 精子の状態が良ければ人工授精で妊娠する可能性は十分あると思います。
やはり体外受精へ進む前に人工授精のステップを踏んだほうがいいのですか?
伊藤先生●そこは意見が分かれるところです。卵管や精子の状態が悪い方、A M Hの数値がかなり悪かったり、高齢の方で卵巣機能が低下している場合は、人工授精をスキップして体外受精へ進むことを提案するケースもあります。保険適用後は特に問題がなくても最初から体外受精を望む方もいらっしゃいます。
 当院の考え方としては、ご本人からの希望がないかぎり、患者さんにとって経済的、時間的、身体的になるべく負担が少ないほうから試していただくようにしています。
フルタイムで仕事をされているようですが、人工授精と体外受精、どちらが仕事と両立しやすいですか。
伊藤先生●来院頻度は人工授精のほうが少なくて済みます。順調な方なら3回程度。体外受精だと生理3日目から毎日注射をしなくてはいけません。しかし、自宅でできる自己注射という選択肢もあるのでお仕事との両立は可能だと思います。
 逆に仕事を辞めて治療だけになるとストレスになってしまうので、体外受精に臨むとしても仕事は続けられたほうがいいと思います。スケジュールに関しては事前に主治医とよく相談して決めていってはいかがでしょうか。
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