【Q&A】未熟卵ばかりで受精まで進めません~藤井雄太 先生【医師監修】

ひまわりさん(41歳)

2019年に妊娠できたものの初期流産してしまい、2020年にも妊娠反応があったものの化学流産してしまいました。
2022年に保険適用になった年あたりから未熟卵ばかりが採れて受精まで進めません。なにか良い方法はないでしょうか?
刺激はFSHが安定していたら、フェマーラとあとはゴナールエフなどの注射で刺激です。
だいたい2~3週間で採卵しているのですが、低AMHなので採れても1個か2個が多く、成熟卵が採れても異常受精だったり分割が止まったり、未熟卵がほとんどです。
トリガーや採卵はタイミングを変えればなんとかうまくいかないかと転院を考えていますが、良いアドバイスはないでしょうか?

藤井雄太先生に聞いてきました

親愛レディースクリニック 副院長・藤井雄太 先生
滋賀医科大学卒業。兵庫県内の市民病院、大学病院、リプロダクションクリニック大阪・東京を経て親愛レディースクリニック副院長就任。日本生殖医学会生殖医療専門医。「同じような悩み、同じ病気でも同じ治療が適切とは限りません。ひとり一人の悩みに寄り添い、その方に最も適切な医療を提供することを心がけています」
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
質問を拝見し、気になる点を箇条書きで回答させて頂きます。
・1回目の体外受精が上手くいかなかったために、以降ずっと顕微授精しかしていないことが正しいかは微妙です。未熟卵の問題は置いておいて、精液所見が悪くないなら、1回目がたまたま受精しなかっただけで体外受精の方が向いている可能性はあります。
・一般的にトリガーから36-40時間で卵子は成熟するといわれるため、未熟率が高い人はトリガーから採卵までの時間を延ばした方が良いことが多いです。ただし、時間を延ばすと排卵リスクも上がります。
他には、点鼻薬のトリガーだけでなく、高容量hCG、dual トリガーが功を奏する場合もあります。サプリが効くこともあります。
・初期流産1回、化学流産1回は偶発的に起こってもなんら不思議ないので、不育症検査がブレイクスルーポイントであるかは判断しかねます。着床不全と不育症の境界は曖昧であるという考え方もあるため、少しでも!と思われるならば、実施していない不育検査をすることはマイナスにはならないと思います
・採卵回数16回に関しては(特にトリガー)、上手くいっていないことを同じように繰り返しているのだとすると微妙かもしれません。
新鮮胚移植5回は何ともいえません。5回中、1回初期流産、1回化学流産ならば打率としてはそこまで悪くなく、上手くいった方法を継続しているという印象です。ただ、低AMHによって、スタンダードな卵胞発育ではなく採卵までに時間がかかったりしているならば、一旦凍結してからの胚移植もありかもしれません。
・着床不全の検査としては、慢性子宮内膜炎の検査も選択肢です。

総じて言えることは「治療回数を重ねてしまっている場合、過去に上手くいかなかった方法から改善策を模索すべき」ということです。上記を試していくことで成熟卵が採れたり、体外受精でうまくいく可能性があるとは思いますが、AMH0.16がネックです。どのような採卵をしても回収卵数は1-3個程度だと考えられます。その中で、色々模索しながら最適解を見つけるというのは至難の業なので、難しい状況であるのは確かです。

しかし、現状ほとんど成熟卵が得られていないならば(うまくいっていないのだから)、排卵済リスクが上がったとしてもトリガー時間を延ばしたり、トリガーを変更するなど逆転の一手を講じないことには現状打破ができないように思います。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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