【Q&A】稽留流産後の自然排出までの期間について~藤本先生【医師監修】

もこさん(40歳)

7週で稽留流産と判定されてから2週間経ちますが、自然排出の兆候がありません。
自然排出までどのくらいの期間を待てばよいでしょうか?
手術する場合と自然排出はそれぞれのメリットデメリットについて知りたいです。

藤本先生に聞いてきました

【医師監修】さっぽろARTクリニックn24 藤本 尚先生
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、臨床細胞学会細胞診専門医。札幌医科大学産婦人科、神谷レディースクリニック 副院長を経て、医療法人社団 さっぽろARTクリニック開院し理事長に就任。2019年5月 医療法人社団 さっぽろARTクリニックn24開院。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
妊娠に至るも残念ながら流産に至った場合、その後の転帰はいろいろあります。
一つは自然に排出されるパターンです。人間はからだがその状況を理解しています。流産したとなると、体は“もういらない”という判断をして、流産に至った妊娠組織を外に排出しようとします。子宮を収縮させて排出させるので収縮により腹痛があったり、出血をきたします。その結果排出が完了すると体は子宮収縮をやめます。よくある展開としては流産後にお腹が痛くなり、出血も増量し、何か塊みたいなのが出たのちに出血も痛みも治まってきましたというかたちです。手術をせずに済むので体に負担がかからずに済むパターンになります。
もう一つのパターンは、流産後いつまでも妊娠組織が排出されないパターンです。先ほどのように多くの場合には、体は流産した妊娠組織を不要と判断し排出しようとしますが、一部の人では全くそうならない人もいます。流産組織が残っていると次の妊娠も目指せませんし、更に最悪のパターンは妊娠組織が感染を起こし子宮内感染に至ってしまうことです。そうなると炎症が子宮内に癒着を起こしたり、非常にまれですが炎症を抑えることが出来なくなってしまった場合には子宮摘出が必要になる場合もあります。そうなる前に手術で流産組織を排出させる必要があります。これが流産手術です。
そして最後のパターンは前2つのパターンの中間のようなパターンです。体が流産組織を排出しようとするものの、完全に排出しきれずに子宮の入り口に引っかかったままになる(嵌頓する)パターンです。このパターンの嫌なところは、いつまでも排出しきらないため、子宮はいつまでも収縮を繰り返し、さらには排出しきらないため、更に強い子宮収縮を促し痛みが強くなります。そして排出しきらないため出血が持続します。かなり多い量の出血が続くこともあり貧血になってしまうこともあります。このパターンになった場合には、できるだけ早くこの中途半端な状況を改善するために手術で引っかかっている妊娠組織を外に排出させることが必要になります。
以上、3つのパターンを紹介しましたが、1が一番良いパターンです。
手術をせずに済むので体に一番優しいパターンです。
2.3のパターンはあまり良いパターンではありません。
そのため、私自身は流産の診断をして場合でもすぐに流産の手術をすることはしません。少し待機して自然排出を待ちます。待つ時間については先生によっても異なると思いますが、私は7〜10日程度待つようにしています。この間に自然排出すれば問題無しです。しかし、待機しても排出されない場合には、流産手術を設定することにします。2.3のパターンを回避するためです。
手術をしないで済めば、体には優しいですが、待機しすぎて感染を起こしてしまったり、中途半端な状況が続き持続的な大量出血が継続するといった大変なことになる場合もあるので、待機しすぎることにもデメリットを伴います。そこを踏まえていつまで待機するのか?主治医の先生としっかりと相談することをお勧めします。
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