【Q&A】年齢的には低刺激を続けたほうがよいですか?~浅田先生【医師監修】

Yukiさん (45歳)
現在アメリカ在住です。アメリカのクリニックでMini IVF(低刺激)法をしております。
顕微授精で昨年の10月から採卵を5回しました。取れた卵の数は以下です。
1度目(6個:3個受精、1個胚盤胞、染色体異常あり)
2度目(1個:未成熟卵のため受精せず)
3度目(3個:2個受精、1個胚盤胞、染色体異常あり)
4度目(3個:3個受精、2個胚盤胞、どちらも染色体異常あり)
5度目(LPS(連続採卵)で1つも取れず)
現在1か月治療をお休みして来月から治療は再開予定です。
私の年齢からすると妥当な結果だとは思いますが、このまま同じ治療法を続けることに少し不安があります。
クリニックの先生は「10個の胚盤胞に1つの割合で染色体異常がないものができるので、あと6個は頑張ろう」と言ってくれています。私のAMHは年齢の割には高い方だと思うので高刺激の方法でたくさん卵をとったほうがいいのでは、とも思いますが、年齢的にやはり今のまま低刺激の治療を続けたほうが良いのでしょうか?ご助言いただけると幸いです。
また、結果についても妥当だとは思っているのですが、先生方のご意見もお聞きしたいです。クリニックを変えてみる必要があるかどうかもご助言いただけると幸いです。

浅田先生に聞いてきました

【医師監修】浅田レディースクリニック 浅田義正 先生
名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

45歳でAMHが1.85というのは高めです。低刺激の治療をされていますが、私の意見としては、もう少し適切な調節卵巣刺激をすれば、よりたくさんの受精卵ができ、PGT-Aの効率もよくなるのではないかと考えます。

卵巣予備能に応じた調節卵巣刺激が不妊治療では最も大切です。「高刺激」という言い方をすると、必要以上に刺激をしているように思われるかもしれませんが、予備能に反して低刺激をすることで採れる卵子の数が少なくなれば、その分だけ妊娠率が落ちることは明らかです。

その周期で採れる卵子の最大数は、半年前から決まっており、それ以上に注射をしても卵子の数は増えませんが、わざわざ低刺激を選択しなくてもよいのではないかと私は考えます。私が低刺激を選択するのは、注射の費用負担と効果を考慮するときですが、AMHがもっと低い0.5~1以下の人を対象にしています。

アメリカでは45歳という高齢の方の治療を、多くの医師が経験していないため、このような選択になるのではないかと思います。アメリカでは40歳以上で結果が出なければ、すぐ他人の卵子をもらうというのが主な治療法です。以前アメリカ人の医師に高齢の方の治療の相談をしたときに、卵子提供で解決するのになぜ自己卵子で治療するのか、と言われたことがあります。アメリカは高齢の方の治療が得意でない、ということではないでしょうか。

私は卵子を多く採取して、受精卵をより多く作ることが大切な治療戦略と考えていますので、低刺激で少しずつ卵子を採っているというのは効率が悪く、AMHが1.85の方にはお勧めできません。

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