今ある凍結卵を移植するか、さらに採卵するべきか、迷っています

相談者 : めいさん(41歳)保険適用時に人工授精2 回で陰性となり体外受精へ。1 回の採卵で11 個、体外受精で4 個、顕微授精で5 個受精するも凍結できたのは顕微授精のみで、5 日目の胚4BB2 つと4CB1つを移植。4BB で稽留流産、ほかは陰性でした。先日2 回目の採卵をし、9 個すべてを顕微授精するも、6 日目の胚4BBの1 個しか凍結できず。子宮内の免疫とフローラ検査も行い問題ありませんでしたが、次は凍結した胚を戻すか、さらに採卵するか迷っています。PGT-A をしたほうが良いかも気になります。
いくたウィメンズクリニック 生田 克夫 先生 名古屋市立大学医学部卒業。名古屋市立大学産科婦人科学教室助教授、名古屋市立大学看護学部教授などの経歴を重ねたが、不妊に悩む名古屋の方たちの役に立ちたいという思いで、教育者の立場を辞して独立。地元・名古屋の中心部、栄に開院し、1986 年から体外受精の現場を歩いてきた経験と穏やかな人柄で、数多くの患者さんを妊娠に導く。

年齢の割に採卵できる卵子の数は多いようですが、その先がなかなかうまくいかないようです。

生田先生●1回目の体外受精で4BB と4CB を移植して、2回目の採卵でも4BB を1個凍結したということですが、グレード自体は悪くはないと思います。問題は、年齢的なこともあり、染色体異常の胚がどの程度含まれているかということです。

年齢が上がると妊娠しにくくなるのは、卵細胞の劣化が起こるからです。染色体異常といっても、最初から異常があるわけではありません。排卵現象の開始から2回、染色体が分離しないといけないので、年齢が上がるとその力が弱まってくることで染色体異常が出てくるわけです。

PGT -Aについても、行ったほうが良いかどうか迷われています。

生田先生●染色体をどうしても知りたいのであればPGT -A(着床前胚染色体異数性検査)をすることになりますが、保険は使えないので費用は高額になります。

40歳以上の方に関しては、確かにPGT -A をしたほうが妊娠率は高くなる、というデータはあります。ただそれは、検査できる受精卵がある程度あるなかで、結果的に正常な胚が得られれば、それを移植した時の妊娠率は高いということです。年齢的に胚盤胞の2/3 は染色体異常があるというデータがあり、一つも移植できなくても高額な費用を払わなくてはいけない可能性もあるわけです。

治療を開始した時期がわからないのでなんとも言えませんが、39歳までに始めていれば6回目の胚移植まで保険が適用されますが、40歳以上で始めた場合は3回しか適用されません。まだ保険が使えるなら、今ある4BB の凍結卵を早めに移植するのもひとつの方法です。保険を使い切っていて、次回から全部自費ということで金銭的に余裕があるなら、新たに採卵してPGT -A をするのももう一つの方法ですが、検査できる受精卵が少ない場合、先ほどお話ししたようなリスクもあります。

先生でしたら、どのような治療をおすすめされるでしょうか。

生田先生● 年齢的にも微妙なラインなので、今ある凍結卵を早めに移植するのが良いのではないでしょうか。4BB の胚盤胞ができているのであれば、妊娠する可能性はあると思います。

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