5年間の妊活&不妊治療

“ここちゆく” 妊活・子育てセラピストとして 妊活中に必要なのは「心地いい」時間と場所を 意識的にもち、感じること。

5年間の妊活&不妊治療がそう教えてくれました。

不妊治療の末に授かった 3 歳の女の子の子育てをしながら、 現在は2人目妊娠を目標に不妊治療を再開中のえつこさん。

自身の経験を生かしたブログ発信やコミュニティづくりに奮闘する えつこさんの笑顔の源を教えてもらいました。

笑顔にたどり着くまでに 一人で抱え込んでいた時期も

「不妊治療を経て母親になった 妊活・子育てセラピスト平安え つこのブログ/北九州」を発信 したり、妊活や子育てを頑張る 女性のための「おはなし会」を 主宰するなど、積極的に活動し ている平安えつこさん( 39 歳)。 周囲の誰もが癒される、ぽかぽ かと陽だまりのような優しい笑 顔が印象的な女性です。

でも、不妊治療を受けている ことを誰にも相談できずに苦し んだ時期や、妊娠や出産の報告 をしてくれる友人に嫉妬したり、 嫉妬する自分にまた落ち込んだ り、と、心の中ではさまざまな 葛藤があったそうです。

2011年に結婚したえつこ さんとご主人の紀隆さん( 39 歳)が初めて出会ったのは 23 歳の頃。 その時はお互いの友人と一緒に ご飯を食べに行ったりするくら いだったそう。7年後、その友 人二人の結婚をきっかけに再会。 とにかく優しい紀隆さんの人柄 に惹かれて付き合い始めるよう になり、いつしかお互いになく てはならない存在に。結婚は自 然な流れでした。

不妊原因がないからこそ、 「なぜ?」と膨らむ不安

結婚から2年が経ち、「子ども が欲しいけど、できない」とい う不安と、なんとなく感じる「触 れないほうがいいのかな」とい う身近な人たちの気遣い。

「年齢的に妊娠しにくくなって いるとわかりつつ、現実を受け 入れる勇気がなかったから、検査には行きたくなかったんです」

もともとネガティブな方向に 考えがちなえつこさんに対し て、紀隆さんは常にポジティブ 思考。先に進めなくなっていた 時に「俺に精子がないかもしれ ないから検査に行きたい!」と 明るく言ってくれたことで病院 に行くことを決心し、まずは婦 人科クリニックで検査を受ける ことにしました。

検査結果は特に問題なしで、 卵子の質が少し低いのは 30 歳を 過ぎていたので年齢相応、紀隆 さんの精子も正常。大きな理由 はなくほっとした反面、「じゃあ、 どうすればいいの?」と不安は 大きくなっていきます。

そんな思いのまま始めた不妊 治療。タイミング法を試してみ ましたが、どうしても機械的に 感じてしまい、潜んでいたネガティブ思考が顔を出して精神的 に限界に。半年経って通院をや めてしまいます。

「子どもは授かりものだってい うから、無理やりつくろうとす るのはその子の意思じゃないし、 それでできたとしてその子は幸 せなんだろうか、とかいろいろ 考えてしまったんです」

次に行ったのは、漢方を積極 的に取り入れている産婦人科。 少しでも自然な治療を求めて通 い始めたのですが、やはり雰囲 気や治療方針などに違和感を覚 えて約半年後にはまた、自らの 意思で通院をやめました。

えつこさんのプロフィールに添えられた「ここ ちゆく」という言葉が表すのは、「気分に滞る ものがなくなり、晴れ晴れとした気持ちになる」 こと。ほっこりとした穏やかな雰囲気の彼女ら しさを感じさせる素敵な言葉です。
●えつこさんのブログ 不妊治療を経て母親になった妊活・子育て セラピスト平安えつこのブログ/北九州 https://ameblo.jp/nanaha410/

本当に信頼できる病院との 出会いがすべての始まり

2カ所のクリニックでの不妊 治療を経て、心身ともに疲れ、「も う、いいかな」と治療する意欲 もなくなっていたえつこさんが、 再び前向きに治療できるように なったのは、紀隆さんの職場の先輩のアドバイスでした。

「とてもいい病院があるよって、 常日頃から主人に言ってくれて いたんです。でも、それを何度 も私に言えば負担に思うと知っ ているので、さりげなく伝えて くれてはいたんですが…」

すぐには行く気になれなかっ たそうですが、 35 歳のある日ふ と、「行ってもいいかな」という 気持ちになり、その勢いで予約 して病院へ向かいます。

それが、えつこさんにとって 本当に信頼できる病院との出会 いとなり、約1年の治療の末に 念願の娘さんを授かることがで きたのですが、途中でやめてし まった2カ所とこの病院にはど んな違いがあったのでしょう。

違いの一つは、夜間診療が週 2回あったこと。えつこさんは 先生から直接話を聞きますが、 紀隆さんはえつこさんからの又 聞きになるため、今まではどう しても同じ歩幅で進めていない と感じていたそうです。でも、一緒に通院する回数が増えるこ とで治療に対する距離が縮まり、 今までのすれ違いも理解してく れるようになって「私がちゃん と言わないといけない」という ストレスが減ったそうです。

そして、もう一つの大きな理 由は、その病院の「人」。

「待合室に常駐していたサポー トスタッフさんが、何でも話を 聞いてくれるんです。雑談でも 夫婦や仕事の愚痴でも、うまく 引き出して、吐き出させてくれ て。ずっと抱えていた思いを出 せたことで、自分のすべてを認 められるようになったんだと思 います」

人工授精の当日にささいなこ とからご主人と喧嘩してしまっ た時、処置室へ向かいながらも 大泣きしているえつこさんを元 気づけるために、先生自らが院 内BGMを変えてくれるという 思いやりに接し、看護師さんに は的確なタイミングでアドバイ スしてもらえる安心感。

「気持ちの強い人なら効率よく 治療できればOKかもしれない けど、私みたいなタイプには親 身になって話を聞いてくれたり 寄り添ってくれる人がいること がとても大きかったですね」

口に出して初めて知った 理解と共感の大切さ

もちろん、人工授精でリセッ トした時にはすごく落ち込んだ りはするけれど、それ以外は本 人さえびっくりするほど通院や 治療を楽しめるようになったの も、すべては「人」がキーワード。 今までは一切口に出さなかった 不妊治療のこと。子どもが欲し いのになかなかできない不安や 悲しみ、焦り。すべてをさらけ 出せるようになったことも「人」 のおかげでした。

そんなえつこさんの周囲にも、 さまざまな変化が訪れます。今 までは気遣いや遠慮からその話 題に触れなかった友人や母親が 「治療はどんな感じ?」と気軽に 聞いてくれるようになりました。 そして、「実は私も不妊治療して いるよ」「体外受精で子どもがで きたよ」と、今まで黙っていた ことを「私も」と話してくれる 人が増えたのです。

「話すことで気持ちを分かち合 えるし、話を聞けば参考になる ことがたくさんあるって、よう やく知ったんです」

心地よく、笑顔で過ごせる 妊活・子育てをめざして

出産や成長の報告が悪気なく 綴られた年賀状が届き、本当は 見たくないし落ち込むけれど、 それを人には言いたくない。不 妊治療は自然じゃないという周 囲の誤解、何気ないひとことで 頻発する夫婦喧嘩など、誰もが 胸に秘めていた「妊活あるある」 を共有できる場所があれば、同 じように悩んでいる人の役に 立てるかもしれない。それが原 動力となったえつこさんの現 在の活動は、「心地よさ」を感 じる時間や場所を意識的にもつ ことがテーマ。ブログ発信やお はなし会をはじめ、日本の神様 のオラクルカードを使ったカー ドリーディング、アロマとスト レッチを融合させた耳ストレッ チなどを通じて、一人ひとりの 「心地よさ」を探すお手伝いを したいと思っています。

えつこさんは今、2歳の女 の子の子育てに奮闘しながら 2人目の不妊治療に再チャレ ンジ中。前向きなパワーと笑 顔にあふれたえつこさんと、 そんな彼女を支えて日々前へ と進ませてくれる紀隆さん。 玄関先にさりげなく飾られた、 緑の草原で撮影した親子3人 の写真からにじみ出る温かさ は、家族の次なるステージを 予感させてくれました。今まで話せなかった人にとって急に「話し ましょう」は難しいもの。カードに込めら れたメッセージが心に溜めていた思いを吐 き出せるきっかけになるようにと、おはな し会やイベントなどでえつこさんが実際に 使用しているオラクルカード。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。