不妊治療はつらいだけじゃなく、成長できる

妊活を通して家族や仲間とのつながりに〝深み〟が出ました。
郡司りかさんは、「日本一の運動音痴かもしれない」としてテレビ出演したことでSNSを開始。YouTube などで配信されているご自身の妊活について
きっかけや妊活で感じたことなどを伺ってみました。

性格も趣味も違うけれど根本的な考え方は同じ

郡司りかさんは、多くの世代から人気の深夜番組「月曜から夜ふかし」で運動についての街頭インタビューを受けたことで、一躍有名人に。それを機に運動音痴ぶりや日常生活でのあれこれをSNSで配信し始めたところ、大人気になり、今ではご自身の妊活についてのリアルな話も配信しています。そんな郡司さんとご主人が初めて会ったのは、7年前。当時、郡司さんが勤めていた眼鏡屋さんにお客さまとして来店されたことがきっかけでした。その時は普通に接客して終わりだったそう。でもなんとそこからミラクルが! たまたま近所のスーパーでばったり再会したのです。そんなご縁があり、交際を始めました。

「私と旦那さんは、なんでも正反対。趣味も私がアウトドア派なのに対して、彼はインドア派。性格もまったく違います。ただ私は、人生の岐路に立った時にどうするかなど、根本的な考え方が合っていれば、趣味や性格が違う人と一緒にいるほうがいい。そのほうが視野は広がると思っていたので、出会いから1年後に結婚しました」

結婚当初、ご主人は長期出張が多く、一年で半年ほどしか一緒に過ごせなかったそう。落ち着いて妊活という感じではなかったので、お互い仕事に邁進していました。

ご主人も子どもは欲しいと思っていましたが、出張により生活が落ち着かず、しばらくは二人の時間を楽しもうということにしていました。

妊活を決意するものの3カ月ほどで一旦お休みに

その後、コロナが落ち着き始めた2022 年から長期出張も少なくなり妊活を開始。きっかけは、コロナ禍でご自身の両親と一緒に過ごす時間が増えたことでした。

「コロナ禍で外出を控えるようになり、家族との時間が増えました。子育てを終えた父母が私たち三きょうだいとまったり過ごす姿が幸せそうで、自然と早く親になりたいという気持ちが湧いてきました」

妊活するにあたり、何からやったらいいのかを以前から定期健診で通っていたクリニックに相談しに行こうと思ったら、コロナの影響でそのクリニックの不妊治療部門が閉鎖に! 妊活について相談できるところを探したいと思い、ネットの口コミなどを参考に見つけました。でも、最初の不妊に関する検査をやっている最中、通院するのがつらくなってしまったそうです。

「まず、待合室の雰囲気が苦手でした。ピリピリと張り詰めたような、通常の病院では味わうことのない雰囲気に圧倒されました。あと、卵管造影検査をやることになったんですが、ネットで検索したら『すごく痛い!』って書かれているものが多く、ものすごく不安になってしまったんです」

そのうち、「子どもをもてないのは自分のせいなのではないか…」という根拠のない不安から抜け出せなくなってしまいました。

そこで思い切ってクリニックでの治療を半年ほどお休みすることにしました。

夫婦で話し合うことでまた気持ちが前向きに

「一度治療から離れたおかげで、夫とじっくり話し合うきっかけが生まれました。そこで根拠のない不安や気持ちを切り替えることができ、治療を再開することにしました」

ご主人とは「私たちは何のために妊活をするのだろう?」というテーマで話し合ったそうです。 そして、「まず、私たちは一緒に楽しく生きていくために結婚した。これから楽しく生きていくために、妊活について話し合ったり、頑張って取り組むこともまた „互いを知るきっかけ"になる。互いを知るとまた楽しい」「子どもができてもできなくても、今取り組んでいることは私たち家族をつくっていく大事な過程」という考えを一緒に導き出せたといいます。「妊活をしているからこそ、こんな話し合いができる」とお互いに確認し合うことで、前向きにシフトできたのだそうです。

気持ちを共有したくてYouTube をスタート

りかさんは、治療を再開するにあたり、妊活をしていることを動画で告白することにしました。

「女性って、子を望む人や望まない人、仕事を頑張りたい人や婚活をしている人など、人生のステージや生き方によって考え方もさまざまですよね。 だから、周りに自分とまったく同じ状況や悩みをもつ友人はあまりいないと思うのです。 私も友人に悩みを „共有"することはできても、 „共感"し合うことは難しかったです。

不妊治療もそう。基本的にネット社会なので、妊活の知識やクリニックの情報などは検索すればわかります。でもネットの情報は自分の経験を共感はしてくれないんです。YouTubeは『そうだよね』『わかるよ』と共感してくれる仲間が欲しくて始めました。自分が想像していた以上に反響や激励があったのも嬉しかったです。今はそういう仲間ができて楽しいし、フォロワーさんから『郡司さんの動画が妊活の励みになっている』とも言ってもらえて、自分が妊活をしていることを正直に話してよかったなと思えました」

ひと通り検査も終えて現在はタイミング療法にトライ中のりかさん。そろそろ人工授精をしようか検討しているそうです。

妊活をすることでご主人と深い話をする機会が増え、今は余裕をもって妊活できているそう。また、新しいことを知る機会も増え、自分が人として成長させてもらっていると実感しているといいます。

妊活=つらいだけじゃなく学びや楽しさもあると捉え、取り組む姿勢が印象的でした。

 

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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