積極的になれず…

「子どもがいると楽しいだろうな」と考えるも積極的になれず…

タイミング法で妊娠すると思っていたけれど、 夫の精子の数が少ないことが判明。

治療への興味もあって顕微授精へ。

妊活説明会に参加したものの、まだ他人事だった二人。

最初はそれほど子どもを望んでいなかったマミさんが 歩んできた不妊治療の道のりです。

子どもが欲しい主人と 今じゃないと思う私の葛藤

取材に応じてくれたのは、 少しお腹のふくらみを感じる くらいの妊娠中期に入ったと いうマミさん。

ご主人との出会いは恋活パー ティで、いわゆる婚活イベント。 出会って2週間でつきあいはじ め、その月にはプロポーズされ たそう。この時子どもがあまり 好きではなかったというマミさ んでしたが、「この人と子ども がいる生活ができたら楽しいだ ろうな」と直感し、理想の家族 像が浮かんだのだとか。

とはいえ、結婚後もあまり子 づくりに積極的ではなく、「主 人は兄弟も多く、子ども好きで、 早く欲しがっていました。でも私は二人の時間も楽しみたい し、いずれ…くらいにしか思っ ていなかったんです」。

そんなふうになんとなく子づ くりに対して、のらりくらりと やり過ごしていたのですが、結 婚して 1 年2カ月くらい経った 頃、ご主人に「家族というのは 子どもがいて、子育てをして成 長していくものだと思う。子ど もがいなかったら結婚している 意味がないよ」と言われたそう です。マミさんは「結婚ってそ れだけじゃない…」と意見が合 わず喧嘩。

「主人に“働く意味が見いだ せない、子どもがいることで 仕事も頑張れる”と言われて、 もう何も言えなくなりました」 とマミさん。“子どもがいたら 楽しいのだろうな”と自己暗
示をしながら葛藤する日々が 続きました。

「私は二人のままでも幸せだと 思っていたのですが、主人が かわいそうというか…子づく りへの転機でしたね」

子づくりを決断すると、ご主 人から“子どもができたらなか なか旅行にも行けなくなるから、 今のうちに行っておこう”と提 案が。ディズニーランドが大好 きなマミさんを、本場アメリカ まで連れていってくれたのです。

「本音をいうと、あ~、もうこれ で逃げられないなって思いまし たね」と苦笑するマミさん。

自然妊娠を望むも… 思うようにいかず悩む日々

これまでにも冷えの予防のために、鍼灸院に通っていたマミ さん。妊娠にいいといわれるツ ボを聞き、自宅でお灸をするこ とも。本格的に妊活に取り組む べく、スマートフォンのアプリ を活用して、妊娠しやすい時期 を予測し、タイミング法での自 然妊娠を期待していました。

「すぐ妊娠すると思っていたの に、毎月生理がきてしまって …。そのたびになんだか悲し くて。私が心の底で妊娠しな いことを望んでいるから、な かなか妊娠しないのかもと疑 心暗鬼になっていました」

30 歳を目前に控えているこ ともあり、不妊外来を受診し てみようかと意識してはいる ものの、まだ自分はそこまで しなくても…と悩んでいた時 に、県が主催している妊活を 応援するプロジェクトで説明 会をやっているのを知り、ご 夫婦で参加しました。

「説明会で初めて、体外受精や 顕微授精という治療法があること、治療や検査に対して県の助 成金があることを知りました。 ただ、その説明を聞いて、なん となくタイミング法以外は人工 的な感じがしたので、タイミン グ法でできなければ赤ちゃんは 諦めようと、二人で話しました」

夫婦二人で検査を受け、 顕微授精への決断

通っていたスポーツジムで先 輩女性たちからのアドバイスや、 インターネットでも調べて、近 くて通院しやすい不妊治療クリ ニックへ通うことに。「受診する 前に説明会に参加するのですが、 びっくりしたことにそれが2カ 月待ちだったのです。こんなに 治療したい人がいるということ に驚きました」とマミさん。

説明会後、 2 回目の受診時に はフーナーテストとAMHの検 査。AMHの値が 40 代という結 果にショックを受けつつも、す ぐさま精液検査も受けると、精子が少ないことが判明。その検 査結果を受けて医師から「顕微 授精でしか赤ちゃんは授からな いよ」と伝えられました。

「主人はショックだったようで すが、もともとタイミング法 以外は治療をしないと考えて いたので、もう治療は終了か なって思いました」

クリニックの先生からは、 顕微授精へのステップアップ を促されたそうですが、検査 結果を受けて二人で再度話し 合うことに。

「主人は子どもが欲しいとい う気持ちがあったので、『治療 は継続してほしい。また顕微 授精は高度な医療なので、興 味がありやってみたいと思う』 と言われました」

さまざまな妊活ブログに、“治 療はつらい”と書かれているの を見て“本当につらいの?”と いう怖いもの見たさもあり、ま た「事前に費用が 40 ~ 60 万円く らいと聞いていたので、これくらいならチャレンジしてもいい かな」と治療を進めることに。

麻酔が効いていてマミさん は覚えていなかったそうです が、採卵時に過呼吸のように なり、恐怖でかなり叫んでい たと、看護師さんたちに後か ら聞いたそう。

卵子は 17 個採卵でき、9個 受精しました。

「ここで初めて知ったのです が、採卵した分だけ費用がか さむのです。たくさん採卵で きたことをまずは喜びつつも、 正直大変だなって思いました」

顕微授精という人工的な治療 に抵抗はあったものの、受精し たと医師から聞いた時は“子ど もを授かるって奇跡なのだ”と 改めて感動したというマミさ ん。その後、卵巣過剰刺激症候 群(OHSS)でお腹が張った り、情緒不安定でご主人と喧嘩 することもあったそうです。

さまざまな不安を抱え、 カウンセリングを活用

「一般的に妊活をされる方と 比べ、私はそこまで赤ちゃん が欲しいと思っていなかった こともあり、不安な気持ちも あまり人に話せなかった」と いうマミさん。そんな気持ち を癒してくれたのがクリニッ ク内のカウンセリングでした。 感情を素直にぶつけることが できて、気持ちを落ち着ける ことができたのだそうです。

「この時点でこれまでの検査や治療費を一括請求されたので すが、当初言われていた費用 の上限を超えていました。こ れから移植するのに…どれだ けかかるんだろうって不安に はなりましたね」

それからまた気持ちの浮き沈 みもあり、カウンセラーに「も う流れに任せるしかないね」と 背中を押してもらったこともあ り、治療を継続。体調を見なが ら時期を見計らい、グレードの 一番良い卵をお腹に戻しました。

一度で妊娠したことが判明し た時は冷静に受け止めつつも、 自然と顔がほころび笑顔になっ たというマミさん。その時の気 持ちをあらためて伺うと、「 1 回 で成功したことに驚いて、なん だかふわふわした気分でした。 口元が緩み、主人に妊娠を伝え るメールを打つ手が震えていた のを覚えています」。

妊娠初期は眠気やお腹の痛み のようなハリで体調があまり思 わしくなかったそうですが、現 在は気持ちも落ち着いてきて食 欲もモリモリ。「赤ちゃんに本の 読み聞かせでもしようかな」と 思ったり、「お風呂で“気持ちい いね”ってお腹に話しかけてい る自分がいます」と少しはにか みながら話すマミさん。

「これからどんな日々が待って いるかわかりませんが、今は身 を任せようと思います」

また、「悩むなら、できるだ け早く夫婦で検査をしてほし いですね」と取材を締めくくっ てくれました。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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