チョコレート囊胞で不正出血。手術・治療を経て妊娠

チョコレート囊胞で不正出血。手術・治療を経て妊娠無駄なことはなく、何かに繫がる手術をしてからチャンスが増えました自己流で妊活をスタートした直後にチョコレート囊胞が発覚。経過観察後に本格的な治療へ。
しかし再び出血し、コロナ禍での治療と手術。
さまざまなアクシデントを克服し、妊娠できました。

二度の卵巣出血は痛みより妊娠への影響を心配

30歳で結婚、自己流で妊活をスタートしたK・Yさん。そんな時、卵巣出血を起こしてしまい、いったん妊活をストップされたそう。経過観察中の約1年後に、婦人科の先生から「これ以上卵巣の腫れが小さくなることはないので、不妊治療を始めてください」と言われました。また、男性ホルモン値が高いこともあって多囊胞性卵巣症候群の疑いもあり、このままホルモン治療を続けるのであれば、不妊治療の専門クリニックへ行ったほうがいいと考え、転院したそうです。

車で約1時間かけての通院。タイミング法の後、卵管が狭いということでFT(卵管鏡下卵管形成術)を行い、再度タイミング法を経て人工授精へ。なかなか授からず、体外受精へのステップアップに向けて採卵。その時に、元々あったチョコレート囊胞に針を刺してしまったことで感染してしまったようで、再び卵巣出血を起こしてしまったのだとか。

つらい入院、手術を経て体外受精で妊娠へ

はじめての入院・手術で不安になったのが、コロナ禍で夫に会えなかったこと。見舞いや面会に制限があり、「看護師さんの詰め所あたりまで夫が着替えなど持ってきてくれて、看護師さんから後で荷物を受け取っていました。数十メートル先に居るのに会話もできず、遠目に手を振るだけでした」と当時を悲しそうに振り返るK・Yさん。

寂しくて精神的につらい3週間の入院を乗り切れた原動力は、ご主人が妹さんの子どもたちと楽しそうに遊ぶのを見た時に感じた、「いつか我が子を抱かせてあげたい」という強い思いだったとのこと。

「不妊の原因が私にあること、お金もかかるし、休みのたびに夫に通院の送り迎えもしてもらい、待ち時間も長く…。精神的な苦痛もかけていただろうと申し訳ない気持ちがありました。非協力的なご主人もいらっしゃると聞いていたなかで、夫は治療に親身になってくれるので感謝の気持ちでいっぱいでした」

 嫌な顔一つせず治療につきあってくれたご主人に、治療を進めていくにつれ、感謝と我が子を抱かせてあげたいという気持ちがますます増してきたそうです。

術後3カ月は妊娠しやすいと言われる「ゴールデンタイム」ということで、タイミング法を2 回ほど試すものの妊娠に至らず、体外受精へステップアップ。凍結してあった卵を移植し、無事に妊娠しました。

「判定前になんとなく〝大丈夫かも〟とは感じてはいたものの、前日は寝られませんでした。当日、ドキドキしながら診察室で待っていると、先生から『陽性でした』と意外とあっさり言われました。あまりにあっさりだったので、喜びよりは、え?本当に? という驚きでした」

 

嬉しい気持ちはあったものの、ここからがスタートだと気持ちを新たにしたそうです。

ネガティブにならず自分を大切に、ポジティブに

「治療の過程で受精卵から育つところから見ることができ、妊娠は神秘的で奇跡的なことなんだと、ネガティブにならず自分を大切に、ポジティブに人一倍実感できたと思います。妊娠することって当たり前じゃないんだと。卵から夫婦で大切に育んできた我が子なので、子どもが生まれたらその体験を話して聞かせてあげたいと思っています」

最後に、卵巣出血やチョコレート囊胞の手術など大変な治療を経て妊娠したK・Yさんから、同じような悩みやつらさを抱える読者へメッセージをいただきました。

「たしかに手術などつらいことがたくさんありました。しかし、それは無駄ではなかったと今では思えます。私も手術するまでは、サプリメントを摂らなきゃ、運動しないといけない…と思い詰めていました。しかし、手術したことで一つ難題をクリアできた自分をほめてあげることができたんです。それで心にゆとりができました。がんじがらめになっていた気持ちがふっと溶けた感じです。不妊治療は頑張ったから、必ずゴールにたどり着けるというわけでもないのでつらいです。ですが、治療を通じて自身の体のことがわかったりします。だから費やした時間やお金は無駄ではないと思います。赤ちゃんのことも大事ですが、まずは自分のことを一番大切にして治療に取り組んでいただけたらと思います」

現在、妊娠8カ月。コロナの感染に気をつけ、できるだけ家で過ごす日々。K・Yさんはもうすぐ生まれてくる子どものために、ベビー用品を選んだりしているのだとか。

「夫も少しずつ親になる実感がわいてきたようで、子どもの名前を考えたり、二人で楽しみながら出産準備をしています。ずっと子どもが欲しいと頑張ってきたのですが、いざ出産が近づくと夫婦二人の時間がもうすぐなくなるのかなと一抹の寂しさを感じることもあります。今は家で一緒に映画を観たり、二人の時間を大切に過ごそうと思っています」

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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