移植後、流産を経験した後、再び同じ方法で移植に臨んでよいものか、悩みますよね。

見尾先生にお考えを聞いてきました。

ミオ・ファティリティ・クリニック 院長 見尾 保幸先生

鳥取大学医学部卒業後、同大学医学部産科婦人科を経て、1993年「ミオ・ファティリティ・クリニック」を開設。婦人科から不妊、産科外来まで女性の生涯にわたる部門を併設。タイムラプスシネマトグラフィー装置を独自開発して第一人者で、ヒトの卵子を精子が受精する瞬間を世界で初めてとらえた。妊娠・出産の夢に向かって頑張るカップルのサポートを行っている。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
nicoさん(39歳) タイミング法、AIH顕微授精と段階を踏み、1回目の採卵で4個の初期胚を凍結。
1回目の移植の自然周期、2回目の移植のホルモン補充周期(プレマリン、ジュリナ服用)、
3回目の受精卵2個を自然周期でレトロゾールを服用し妊娠したものの、8週で流産しました。
その後、採卵からスタートして初期胚4個と胚盤胞2個を凍結し、移植周期に入りました。
「自然周期で行きましょう」と言われたのですが、仕事を始めていたためホルモン補充周期でお願いしました。
前回同様、プレマリンとレトロゾール服用をしていましたが、移植前の診察で排卵してしまっていました。移植中止です。
そして、今周期も同じ薬で同じ量での移植周期。
前回のことがあるのでまた排卵してしまわないか心配で排卵検査薬をしてみると、うっすら二本線・・・
次の日は前日よりも薄い二本線でした。
1度目の時は薬の効果があり排卵しなかったですが、
2度目で排卵してしまったのは流産した事によって子宮の何かが変わってしまったなどがあるのでしょうか?
3度目の今回、排卵検査薬が反応しているのは排卵する可能性が高いということでしょうか?
年齢的にも1周期が大切なので、今周期どうにか移植まで辿り着きたいです。

ホルモン補充周期を選択したことについていかがでしょう

自然周期、排卵誘発周期、ホルモン補充周期でも、適切に対応すれば、方法別の効果に差はありません。ただし、排卵し、⻩体形成があれば、⻩体から妊娠後にリラキシンが分泌され、妊娠中の母体リスク(妊娠高血圧症候群)を明らかに減少します。
排卵周期では、LH surge 開始を確認するために血中 E2, LH,P4 を定期的に測定する必要があります。それをやらなければ、ご質問のような事態が避けられません。
通院の困難さ、年齢、その他の背景により、適切な方法を選択します。

流産後、子宮内が変化して排卵や着床等に影響があるというのは考えられますか?

流産後は、次の妊娠は起こりやすくなります。

なぜなら、どのような妊娠も母体にとってはプラスに働き、身体を妊娠する前に比して明らかに成熟させてくれます。どのような妊娠もありがたいことで、感謝すべきではと私は考えております。

個人的な意見ですが、クラミジア感染等の母体側の問題がなければ、全て、赤ちゃん自身の寿命が短くて、天寿を全うして先に逝っていることですので、赤ちゃん自身は大往生、受け止め方の問題だと思います。

先生なら、相談者さんへどのような治療を提案されますか?

どのやり方でも、適切に、きめ細かく、患者さんの状況に合わせて行えば何の問題もありません。
当院では、もっと、真剣に患者さんの気持ち、思いに添う対応が必要と考えています。とくにこのケースの場合には、月経周期、ホルモン動態、薬剤効果等は大切にします。

 

 

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