【Q&A】PGT-A正常胚移植 陰性~宇津宮先生【医師監修】

はらっちさん(43歳) PGT-A で24個検査に出して、2個正常胚と結果がでました。今月、移植をしたのですが、結果は、陰性でした。移植前にエマ、アリスや子宮鏡検査、th1/th2比などの諸々の血液検査もし、すべて異常なしでした。ホルモン補充周期でエストラーナテープ、ヒスロン、ルテウム膣剤を使いました。それでも、陰性だったので、今後、どうしたらいいか分かりません。病院の先生は、正常胚だから特にこれ以上検査しなくて、大丈夫だと言っています。でも、正常胚は後1個しかなく、もうすぐ44歳になってしまいます。次回の移植までにできることや移植時にやった方がいいことがありましたら、教えてほしいです。もう年齢的にも経済的にも治療を続けることはできないので、次回が最後の移植となります。どうしても、子どもが欲しいので、よろしくお願いします。

宇津宮先生に、お話しを聞いてきました。

【医師監修】セント・ルカ産婦人科 宇津宮 隆史 先生 熊本大学医学部卒業。1988 年九州大学生体防御医学研究所講師、1989 年大分県立病院がんセンター第二婦人科部長を経て、1992年セント・ルカ産婦人科開院。国内でいち早く不妊治療に取り組んだパイオニアの一人。開院以来、妊娠数は 9,500 件を超える。
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この方はPGT-Aを行っているのでご夫婦の染色体検査は正常と仮定して答えます。
PGT-Aは単に染色体が正常か否かを調べているだけで、それ以下の小さい遺伝子異常はわかりませんし、それによる妊娠不成功もあります。また、外見が綺麗な胚盤胞でも染色体の正常な胚は25%しかありません。1/4です。この1/4の正常な胚を移植すれば妊娠率70%、流産率11%で、ここにPGT-Aの有効性があります。今回はたまたま100引く70の30%に入ったと言えます。
さて、「はらっち」さんは十分な検査、治療をしていますが、気になるのは精子の状態です。精子は検査、治療が難しいのですが、ご主人の検査(生殖医療に精通した泌尿器科)はいかがでしょうか。精索静脈瘤があれば治療すべきです。そのほか、夫へのサプリ、夫の体調、精神的ストレスなど、夫のデータが少ないので、そこを見直してください。
精子は体調によって100倍以上変化します。しかも1か月以内でも。また、何らかの異常があって治療してもその効果が出るのは半年以上かかります。増毛剤使用、喫煙、過度の飲酒、過度の運動、胃薬や精神安定剤などプロラクチン異常などを引き起こす薬剤、有機溶媒環境、過度に長い禁欲期間、BMI、股間を温める生活習慣など、いくつもチェック項目があります。顕微授精するにも、十分健康な精子の中から最も良い精子を選ぶのが理想です。ヘロヘロの中から良さそうなのを選んでも精子の遺伝子が壊れてる可能性が高いので、いい受精卵にはなりません。夫について再検討してください。
卵子は年齢相応に質の低下(特に染色体異常、この年ならおそらく染色体正常卵子は10%以下)が進行していることを考えると、これは手を付ける余地はないと言えます。それを補うのがサプリです。それも十分と思います。さらに、24個もPGT-Aに出せる胚があるなら、卵子に関しては恵まれている方と思います(おそらくPCOでしょう)。よって、年齢相応に挙児成功率は2-3%でしょうが、その数字はあなたのようなPCOタイプの方によってごくまれに成功した結果であると思います。その%にかけてみてもよいかと思います。
その際、採卵に向けて体の調子を整えておくこと。ストレスをためず、調子のよい体調を心がけ、軽い運動、リラックス、楽しいことを計画すること、特に御主人と仲良くこれらを行って次の採卵に備えることでしょう。すでに十分なサプリは摂取していますからリラックスしてください。PGT-Aまで行っているのですから、もう十分と思います。
なお、エマ、アリス、th1/th2、シート法、IMSI法、内膜スクラッチ法、子宮内フローラ検査などはいまだに十分なエビデンスはありませんので当院では行っていません。
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