胚盤胞まで到達しない原因は? 

胚盤胞に育ちにくく精子所見に問題も。今後できることは?

久保みずきレディースクリニック 石原 尚徳 先生 高知大学医学部卒業後、神戸大学医学部大学院修了。医学博士。兵庫県立成人病センター、兵庫県立こども病院の勤務を経て、2008 年より久保みずきレディースクリニック菅原記念診療所勤務。不妊治療から周産期・小児医療まで、地域に根ざした総合的なサポート体制が整う同クリニックで、不妊治療/婦人科、産科を担当する。
相談者 : あめんぼさん(33歳)高刺激法で9 個採卵し、IVF(4 個)とICSI(5 個)に振り分けて6 個受精。5 個は桑実胚で発育が止まり、胚盤胞1 個は4CC のため凍結・移植できませんでした。「精子の質を上げたほうがいい」と言われ、夫婦でコエンザイムQ10 などのサプリメントを摂り、血流を上げる運動も始めました。すぐに採卵できる状態ですが、精子の質が変わる70 日間程度待って採卵に臨み、その間はAIH を試そうと思っています。精子所見に問題があり、多囊胞性卵巣ぎみですが、次回も同じような刺激法でいいですか?

多囊胞性卵巣症候群( PCOS )の傾向があるそうです。次回も同じ刺激法でいいでしょうか?

石原先生●採卵前に点鼻薬を使うアンタゴニスト法をなさっています。この高刺激法は、PCOSの方に生じやすい卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクを低減する利点がありますので、次回も同じ方法でいいと思います。
 ほかに糖尿病の治療薬でもあるメトホルミンを内服しながら、高刺激に入る方法もあります。PCOSの傾向があり、AMH値が6.28ng/mlと高いですから、卵胞の糖代謝の問題も考えられます。その指標となるHOMA ‒R(インスリン抵抗性指数)を採血検査で調べられてもいいですね。

胚盤胞に育ちにくい理由として、考えられることはありますか?

石原先生●ご相談文には、体外受精の受精率が1/4、顕微授精は5/5とあります。体外受精の受精率が低い理由の一つに、精子の問題が考えられます。精子の運動率が低く、不動精子も多いとのことですから、顕微授精をされたほうがいいと思います。
 あめんぼさんは33歳とお若いので、まずは男性側の精密検査をおすすめします。精子の通り道になる精路の問題をはじめ、ホルモンの異常や炎症、精索静脈瘤などが認められれば、これを改善することで、いい結果につながるかもしれません。

次の採卵周期までに、おすすめの検査やサプリメントはありますか?

石原先生●「月経量が少ない(月経2日目の夜に減り、4日目にほぼ終わる)」そうですので、子宮鏡検査で子宮内膜の癒着などを確認されるといいと思います。
 すでに葉酸、ラクトフェリン、メラトニンのサプリメントを摂取されています。そのほかマルチビタミン、DHEAやプラセンタも有効ですが、担当の先生がおすすめされるものを中心に、コストを考えて必要なものを選択されるといいでしょう。
 いろんな治療やサプリメントの効果を考えると、精子が造成、成熟する約70日間後の採卵でもいいと思います。一般的には、この間に移植する受精卵があれば、それを使いながら、ご主人の体質改善や検査を進めてもいいですね。あめんぼさんについては、次回の採卵までに人工授精を試されるのも一つの手段だと思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。