妊活を始めて半年。 病院デビューはまだ早いですか?
基礎体温と排卵日予測検査薬を使って、
自己タイミングをとっているようですが。
小林先生● 最近、排卵日予測検査薬を使いはじめたようですね。排卵日前にLHというホルモンの数値が上がることを知り、陽性反応が出た日から2日連続でタイミングをとったということです。
実はこれは間違ったやり方なんですね。LHが大量に分泌されるLHサージは、エストロゲン分泌のピークが下がる刺激で起こります。LHサージが起きてから 30~36 時間で排卵。ところが、その頃には頸管粘液が減ってしまう。頸管粘液はエストロゲンの作用によって増えますから、エストロゲンの分泌が減れば頸管粘液も減少してしまいます。
そうすると精子が入りにくくなってしまうんですね。また、LHサージが収まってくると黄体ホルモンが分泌され、さらに頸管粘液が減って妊娠率が下がってしまいます。
みなさん排卵日に頑張ろうとしていますが、その発想が違う。こうしたホルモンの流れを考えると、本当は排卵日の3日前、2日前に夫婦生活をもつのが正しく、より妊娠しやすくなると思います。生理が 28日型の人なら 11日目と 13日目に、 26日型の人なら 10日目と 12日目に。 1日空けるのは精子の回復を待つためと考えてください。
このやり方なら、自己タイミングでも妊娠する確率が高くなります。まだ代の方なら半年くらい続けて、結果が出ないようであれば一度病院へ行ってご相談してみてはいかがでしょうか。
では、この方の場合、
病院受診はもう少し先でいいということですか。
小林先生●ただ、この方は生理周期が32日ということ。生理周期が長く、 35日周期くらいになると多囊胞性卵巣の傾向がみられることが多いようです。この傾向があると排卵障害を起こしたり、卵子の質が悪くなることがあるんですね。
また、生理不順がある場合、卵巣が元気で不順なのか、卵巣の元気がなくて不順なのかの違いで状況が変わってきます。前者は多囊胞性卵巣、後者は早発卵巣不全の可能性が考えられます。「まだ 20 代だから生理不順でも放っておいていいや」ではなく、生理に問題があるようなら早めに病院へ行って検査だけでも受けておいたほうがいいでしょう。特に調べてほしいのは卵巣の予備能をみるAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値です。
代でなかなかお子さんができない場合、男性因子の不妊も多いので、ご主人も必ず検査を受けてください。