Q 13 ・ 14 日目に少量の出血あり。 生理の可能性はありますか?

吉田 壮一 先生 鳥取大学医学部卒業。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学 会生殖医療専門医。鳥取大学産科婦人科学教室入局、1999年 顕微授精など高度生殖補助技術研修のため、豪国モナッシュ大学へ。 鳥取大学女性診療科外来医長・産科病棟指導医を経て、2006年よ しだレディースクリニックを開院。

ドクターアドバイス

●P4値の上昇が見られないので、排卵はしていないようです。
●卵胞ホルモンの分泌が不十分な状態が続き、子宮内膜が不安定になり出血した可能性も
けろろさん(32歳)からの相談 Q.体外受精に挑戦中で、現在は排卵周期を待機しています。待機 中はタイミング法で挑戦してみようと思い、排卵検査薬を12 日目から使用。16日目で、判定窓に基準線よりも薄い線がずっ と出ていますが、12日目が一番濃く、少しずつ薄くなってい ます。13日目と14日目に少量の出血があり受診。結果はE2: 105pg/ml、LH :13mlU/ml、P4 : 0.4ng/ml、卵胞が15㎜ほ どで生理ではなく、排卵前ということでした。先生から17日目 の晩にタイミングを取るぐらいがよいとのことでした。排卵検査 薬が12日目から薄くなっていても、まだ排卵前なのでしょうか?  線が一番濃かった12日目頃が排卵で、エコーで見えたのは 遺残排卵だったのでしょうか? ホルモン値や卵胞があったこと を考えると、やはり生理の可能性はないのでしょうか?

けろろさんの 13 ・ 14 日目の出血は生理で はなかったのでしょうか?

吉田先生 受診時にホルモン検査をされて いますね。P4というのは黄体ホルモンの 値なのですが、その値が上昇していません。 月経周期は複数のホルモンによって調節さ れています。

下垂体から分泌される黄体形成ホルモン (LH)や卵胞刺激ホルモン(FSH)が 卵巣に作用し、卵胞が発育し始め、卵胞ホ ルモン(エストロゲン)を分泌します。卵 胞が十分に発育したと判断したところで、 LH の分泌が急激に高まり(LH サージ)、 卵子は成熟し排卵が起こります。排卵は LH サージの立ち上がりから、 30 ~ 36 時 間後(ピークからは 12 ~ 18 時間後)に起こ るとされています。卵巣からの P4産生は LH サージとともに始まり、血中濃度は排 卵前の 1ng/ml 未満から排卵後 1 週間で 10ng/ml 以上まで増加します。つまり、P4の 増加で排卵が判断できるわけです。

  けろろさんの場合、P4の値が 0.4 ng/ml と 低く、排卵が起こっていないのは間違いな いでしょう。本来の生理は、排卵が起こっ てから出血があるので、今回は生理ではな く、不正出血でしょう。また遺残卵胞は、 排卵時に主席卵胞以外のほかの卵胞が消え ずに残ってしまった状態のことです。これ らのことから遺残卵胞がある程度ホルモン を出していたのか、無排卵あるいは排卵前 で、卵胞ホルモンの分泌が不十分な状態が 続いたために子宮内膜が不安定になり、出 血した可能性もあります。

自宅で排卵検査薬を使用する際の注意点 を教えてください。

吉田先生 まず、朝一番の尿で検査せず、 検査前の多量の水分摂取や発汗を伴う運動 は避けましょう。分娩後や流産後の方は、 月経が始まってから検査してください。

検査は、次回月経予定日の 17 日前から1日1回行ってください。過去の検査で LH サージがうまく確認できなかったり、 陽性か陰性か判定に迷う場合は、1日2回 検査を行うと、LH サージをとらえやす くなります。併せて同じ時間帯に検査を行 うのがよいでしょう。

それでもはっきりとした反応が出にくい 場合があります。その原因は、月経周期の 変動でピーク期を逃した、LH の濃度上 昇がわずかだった、ピークが短時間で検出 できなかったなどが考えられます。

けろろさんにアドバイスをお願いします。

吉田先生 少し気になるのが、AMH の 値が 2 ・ 66ng/ml 。年齢からすると低め です。さらに LH 値は通常、卵巣機能が よい状態の時は一桁になるのですが、け ろろさんの場合は 13mlU /ml 。本来、FSH 値が上昇すると卵巣機能が低下していると 判断するのですが、それに先立って LH 値が上昇します。以上のことから卵巣機能 が弱くなりかけていると判断します。受診 した医師が排卵前だと言われたということ ですから、これから排卵するという判断が 正しいかと思います。疑わしいようであれ ば、 1 週間後くらいに主治医に排卵チェッ クをしていただくとよいでしょう。

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全記事、不妊治療専門医による医師監修

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