顕微授精後の休憩

次回の胚移植まで 治療の休み方について 教えてください

奥 裕嗣 先生 1992年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリ カに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて体 外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF 大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010 年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産科婦人科 学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。昨年、バーコード 管理を導入した同クリニック。取り違え防止システムとして、培 養室ではスタンダードになり始めているものの、日本で通常の外 来診療に取り入れている施設はまだほとんどないそうです。
スージィさん( ? 歳)からの相談 Q.顕微授精を2度行い、陰性の結果でした。現在、2度目の陰性後の月経が来たと ころなのですが、次回の胚移植は少し休憩して、来年になってからにしようと思っ ています。クリニックからは治療を休むなら病院に来なくていいといわれました。 しかし、私は多嚢胞性卵巣症候群とホルモンバランスを崩したことで、5年以上、 自然に月経が来ません。ピルを内服したりしたほうがよいのでしょうか? 病院へ行 くとしたら、どのタイミングで行けばよいのかわからないのでよろしくお願いしま す。あと、採卵をして以降の治療で体重が5カ月で9kg増加して、お腹回りや太 ももがとても太くなりました。ジョギングやウォーキングをしたりと運動や食事も気 をつけています。このまま太り続けるのかと不安です。

カフマンで子宮環境を整える

しばらく治療を休憩した後に、治療再開 を検討中とのこと。お休みの期間はどのよ うに過ごせばよいでしょうか?
奥先生 凍結胚を保存してから治療を中断 し、子宮の環境を整えてから妊娠を目指す 方針はとてもよいことだと思います。
多嚢 胞性卵巣症候群で自然に月経が来ないとい うことですので、しばらく治療を休むにし ても、長期間にわたって月経が来ない状態 で放っておくよりも、おっしゃるようにピ ルを内服されるのがよいと思います。
多嚢 胞性卵巣症候群の方で、あまり月経が来な い状態が続くと、異常に子宮内膜が分厚く 増殖する子宮内膜増殖症や、そこから子宮 体がんに発展するリスクが増える可能性も 高くなります。
当院では治療を休む間は、カウフマン療 法といって、不足しているエストロゲンプロゲステロンをホルモン剤で補う治療を 行います。
カウフマン療法の目的は、月経 を起こして、子宮内膜を毎月新しく入れ替 えることと、規則的に月経を起こすことに よって、月経周期や排卵周期 ・ 子宮環境を 整えることにあります。
病院に行くタイミングについては、胚 移植を希望される一つ前の周期に、月経 が来たら診察を受けるという考え方でよ いと思います。
そのためにもピルの服用 やカウフマン療法で、月経周期は整えて おくほうがよいでしょう。
「胚移植をする まで病院に来なくていい」というのは、 間違いではありませんが、月経が来ない と病院にかかる時期もわからず、胚移植 の時期もコントロールできません。
そう いう意味でも、ピルの服用やカウフマン 療法をおすすめいたします。

体重増加とPCOS

急激な体重の増加についてはどうでしょ う。治療の影響を不安に感じておられます。
奥先生 採卵後に5カ月で体重が9 kg も増えたということですが、これは治療とは おそらく関係ないと思います。
ただ多嚢 胞性卵巣症候群の方の 30 〜 40 %の方はメ タボリック症候群といわれていますので、 このまま放置しておくのは問題です。
あ まり体重が増えすぎると、妊娠高血圧症 候群や高血圧、糖尿病など、周産期に合 併症を起こしやすくなります。
きちんと 医師から食事指導を受けるなど、胚移植 の前の段階からやはり体重をコントロー ルしておくべきでしょう。

着床環境を整える

治療再開後の治療方針について、先生な らどのようになりますか?
奥先生 もともと月経が不順な方なので、 自然周期ではなく、ホルモン補充周期によ る凍結胚移植となるでしょう。
スージィさ んの場合は卵胞の発育を抑えるための投薬 は必要ないと思うのですが、前周期に移植 の準備段階として、ピルや点鼻薬などのお 薬を使うことによって着床環境が良くなる 可能性もあります。
ピルを飲み始め、7日 目くらいの高温期の真ん中あたりでアゴニ ストという点鼻薬を使用します。
月経が来 てからはエストロゲン製剤を用いて、胚移 植へというような流れで治療を進めること になるでしょう。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。