胚盤胞まで育たない原因と対策について

23個採卵しましたが未成熟卵が多く胚盤胞まで育ちません

にんじんさん(33歳)レコベル®6.0 単位で23 個採卵しましたが未成熟卵が多く、顕微授精をして19 個正常受精。その後3日目ですべて分裂ストップし胚盤胞まで育たず、移植できませんでした。主治医からは「未成熟卵が多いことが、これまでも妊娠できなかった原因かもしれない」と言われました。未成熟卵が多い原因は卵子の質が悪いから? それとも刺激法が合っていなかったのでしょうか。卵質改善のためレスベラトロールを飲み始めました。
ファティリティクリニック東京 小田原 靖 先生 東京慈恵会医科大学卒業、同大学院修了。1987 年、オーストラリア・ロイヤルウイメンズホスピタルに留学し、チーム医療などを学ぶ。東京慈恵会医科大学産婦人科助手、スズキ病院科長を経て、1996 年恵比寿に開院。
23個が、未成熟卵が多かったそうです。その原因についてどう思われますか。
小田原先生●にんじんさんはAMHの値が5.8ng/ ml とのこと。33歳にしては比較的高い数値で、多囊胞性卵巣の傾向があると考えられます。このような方は卵巣を刺激すると卵胞がたくさんできてしまい、それと比例してエストロゲンの値も高くなるので、卵巣過剰刺激症候群のリスクが高まってしまいます。
 主治医もそれを懸念して最適な採卵時期を選ばれたと思うのですが、卵巣の腫れをなるべく防ぐために卵胞が若干未成熟で小さめでも採らざるを得ないというケースもあります。それが最終的に卵子の成熟度にかかわることも。
 もう一つは刺激法によるのですが、方法によっては最後にLHサージを起こすためにHCG製剤やスプレキュア® などの点鼻薬を使う場合があります。生物学的活性に関してはHCGのほうが強く、成熟卵は多く採れますが、卵巣過剰刺激症候群になる可能性は高まってしまいます。リスクを回避するためにHCGではなく、点鼻薬を選択した結果、思ったよりも卵子が成熟しなかったということもあります。
 にんじんさんの場合、顕微授精ができて受精もしたということですから、ある程度成熟した卵子があったのかもしれません。通常だと受精した胚のうち、胚盤胞までいくのは4~5割といわれています。それが3日目まででほとんど成長が止まってしまうということは、やはり卵子の成熟度がかかわっていた可能性が考えられるでしょう。
卵質を改善するためにレスベラトロールのサプリメントの摂取もされているようですが。
小田原先生●人によってはレスベラトロールで卵質が改善されるケースもあるかもしれませんが、この方にとってそれが今の最善策とは言い切れません。
 まずは卵子ができ過ぎるのをコントロールすることが重要なのでは。当院だったら、次回の採卵は刺激を少し弱くして発育卵胞を減らすような形をとるでしょう。卵胞が多いと押しくらまんじゅうのようになり、それぞれの卵子が育ちにくくなりますから。少なめにすると卵子が十分に成熟するまで引っ張れます。
 また、今どのようなやり方でLHサージを起こしているのか不明ですが、その段階でも調整をしてみる。このように、ご自身に合った採卵のやり方を模索してそれが見つかれば、良い卵子が採れる可能性は十分あると思います。
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