卵子が老化しており、妊娠したものの初期流産。今後どうすればいい?

徳岡 晋 先生 防衛医科大学校卒業。同校産婦人科学講座入局。自衛 隊中央病院産婦人科勤務後、防衛医科大学校医学研究 科に入学し、学位(医学博士)取得。2000年より木場 公園クリニックに勤務。5年間の勤務を経て2005年に 独立し、とくおかレディースクリニックを開設。A 型・み ずがめ座。いつも貴重なお昼休みの時間に取材を受けて くださる先生。今回は「秋号だから秋らしい色を選んだよ」 と赤いウェアでにっこりご登場。データや資料を使いなが ら、丁寧に説明してくださいました。
桜さん(32歳)Q.1人目は自然妊娠で授かり、現在5歳。2人目を望んで不妊治療歴3年目で、3回 転院しています。今までに抗精子抗体が陽性、潜在性高プロラクチン血症AMH値: 9.8であることがわかり、タイミング療法、人工授精3回、顕微授精2回行いました。 今回3個採卵し、1個が胚盤胞(5BC)になり、顕微授精で凍結胚を戻して陽性 反応が出ましたが、妊娠5週目で初期流産。採卵での卵のグレードの悪さから、卵 子の老化が原因だと言われています。顕微授精でしか妊娠できないと言われました。 いい受精卵が育つか、着床しても流産しないか不安です。今後、どのような治療が いいでしょうか? 排卵誘発は、HMGの投与で卵巣が腫れてしまうため、クロミッ ドⓇを使っています。

卵子の老化とAMH

不妊の原因は卵子の老化と言われているそうですが。
徳岡先生  27 歳で1人目を出産されて、5年経った現在のAMH値が 9.8とのことですが、 32 歳で本当にこの値なのでしょうか。
9.8 という値は、42 歳相当の数字です。
たとえば卵巣の手術をして片方を取っていたり、子宮内膜症ができていて1つは機能していないようなケースの値です。
これまで、AMHはいつ測っても数値は一定だと考えられていましたが、最近出た文献では、AMHも時期によってある程度の変動があることがわかってきました。
ですから、再検査してみるのも1つの方法かと思います。
高めに出るといわれる月経期に、もう1回測ってみるといいかもしれません。
もし違う結果が出たとしても、治療方法は基本的には変えなくていい と思います。
クロミッドⓇ+HMG +セトロタイドⓇというのは、一番オーソドックスな方法です。
AMHの結果にかかわらず、桜さんは卵子が採れにくい方なのだと思いますので、おそらく少しでも質のいい卵子を採卵しようという方針で、行っていらっしゃる方法だと思います。

胚盤胞到達率

1個しか胚盤胞に至らなかったのは、受精卵のグレードがよくなかったということでしょうか?
徳岡先生 受精卵が胚盤胞に到達するのは通常でも3分の1か2分の1の確率なので、桜さんの3個採卵できて1個が胚盤胞に至ったという結果は、悪いものではありません。
5BCの胚盤胞は決してグレードが悪いわけではなく、当院でも5BCの場合、 40 %くらいの確率で妊娠しています。
桜さんも妊娠反応が出たわけですしね。
途中で止まってしまったということは、染色体の異常があったということです。

体外受精?顕微授精?

やはり顕微授精でないと、妊娠は難しいですか?
徳岡先生 抗精子抗体が陽性ということですが、しっかり卵子を洗って抗体を除去してあげれば、体外受精も可能です。
採れる卵子の数が少ないので、担当の先生は顕微授精を選ばれるのだと思います。
「卵子3個なら、より確実な顕微授精のほうがいいですよ」ということなのだと思います。
当院でも、抗精子抗体がプラスの方でも、ある程度の数の卵子が採れる場合は、スプリット法という顕微授精と体外受精の両方にふり分ける方法を行います。
抗精子抗体がある場合は自然妊娠や人工授精は厳しいですが、体外受精でも妊娠は可能なので、そこはもう一度先生に確認されたほうがいいと思います。
3回転院されて、今回の病院で初めて妊娠反応が出たとのこと。
この先生の治療の進め方は桜さんの今の状態に合っているのだと思います。
今の治療方法でこのまま頑張って治療を続けて、少しでもいい卵子が採れる状態をつくっていけば、妊娠の可能性は十分にあると思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。