【Q&A】新鮮胚移植か凍結胚移植か~浅田先生【医師監修】

ぶーちゃんさん (39歳)
今年で40になります。焦りもあります。おととしから2人目不妊の不妊治療を体外受精へステップアップし、今までに4回採卵、うち2回はそれぞれ9週で繋留流産し、うち2回は着床すらしませんでした。
繋留流産と䛿なってしまったものの、2回とも妊娠できたのは凍結胚移植でした。年齢的にも、確率的にも凍結胚移植のほうが確率的には高いと聞いたりしています。
ただ、2回繋留流産し、そのあと、凍結胚移植するも、着床せず、今月採卵した際に、医師から、今回は今までと違って、新鮮胚移植をしてみようと思う旨、説明がありました。また、体外受精と顕微受精と半々で(14個採卵できた䛾で、体外7個、顕微7個で)やってみましょうと提案がありました。今までと違う方法のほうが、妊娠率があがるかもしれない、とのことでした。でも、年齢的な問題なのか、新鮮胚移植でもダメでした。他の受精卵も結局、今回は凍結に䛿至らず、治療を継続するには、また採卵からになります。その場合、また新鮮胚移植にしたほうがいいのか、凍結胚移植䛾ほうがいいのか、どちらが可能性があるでしょうか。

浅田先生に聞いてきました

【医師監修】浅田レディースクリニック 浅田義正 先生
名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。

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新鮮胚移植をすすめられたということですが、主治医は結果がでないので、色々な方法を試してみたいと考えられているのではないかと思いますが、その考えは生殖医療の基本的な考え方としては正しいとは言えません。
どのような時も、凍結融解胚移植の方が、新鮮胚移植よりも移植あたりの妊娠率が高いことに間違いはありません。
そのため私は、基本的に患者さんへ新鮮胚移植をすすめることはありません。しかし、今の保険診療の基本が新鮮胚移植になっているため、保険診療ではやむを得ず新鮮胚移植を行うことがあります。
高齢の方の受精卵でも、凍結や融解をしたからといって卵がダメージを受けることはありませんが、凍結融解胚移植では、胚培養士の技術に大きく左右されますので、未熟な技術で凍結融解を行えば、当然ダメージを受けます。
14個の卵が採卵でき、凍結はできなかったということですが、卵巣刺激がきちんとされていないため、成熟卵を採ることができていなかったのかもしれません。
見た目は成熟卵でも、中身が成熟していなければ当然、胚盤胞到達率も受精率も悪くなることは明らかになっています。
特別、新鮮胚移植を行う理由がなければ、私は凍結融解胚移植にします。
卵巣刺激と凍結融解胚移植を分けて行うことにより、卵巣刺激では未熟卵を採ることがないよう、しっかりとした刺激を行うことができ、凍結融解胚移植では子宮内膜をしっかり作ることができますので、新鮮胚移植よりも成績は良くなります。
新鮮胚移植では、卵巣刺激をして成熟卵を数多く採ろうとすると、黄体ホルモンがすでに上昇しているため成績が下がります。
そのため、卵巣刺激が中途半端になり未熟卵が増えて結果的には、胚盤胞到達率や胚盤胞の個数が減ることも考えられます。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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