PGTーAの保険適用について

PGTーAを提案されましたが自費なので迷っています

相談者 : あきさん(37歳)先日7回目の移植を陰性で終了。すべて5AAか5ABの良好胚だったのですが、流産2回・陰性5回の結果でした。見た目は良好なのに7/7の確率で染色体異常が起こることはよくあるのでしょうか。また、再凍結した胚盤胞が2個残っていますが、再凍結した受精卵は質が下がってしまう? 医師からはPGT- Aをして染色体異常のない受精卵を移植することを提案されましたが、自費になるため資金的に厳しいです。保険適用になる可能性はあれば待ちたいのですが……。
明大前アートクリニック 北村 誠司 先生 1987 年、慶應義塾大学医学部卒業。1990 年、同大学産婦人科IVF チームに入る。1993 年、荻窪病院に入職。2008 年、荻窪病院 虹クリニックを開設し、院長として就任。2018年2月、明大前アートクリニック開設。医学博士。日本産科婦人科学会専門医。日本生殖医学会・生殖医療専門医。日本産科婦人科内視鏡学会評議員。

5AA など良好胚でも、すべて染色体異常ということはあるのでしょうか。

北村先生●良好胚と思われるというのは見た目だけの評価ですね。胚の形態が正常でも染色体異常があることはあり得ると思います。年齢が上がれば上がるほどその割合は増え、あきさんがおっしゃるように7個のうち7 個すべてが染色体異常ということもないとはいえません。

逆に評価にCが入っていても正常な胚ということも。実は染色体異常と見た目の評価は相関しないのです。本当に正常な胚かどうか判断するためには、中身を調べてみないとわからない。つまり、PGT -A をやってみるしか方法はありません。

あきさんはこれまで良好胚を7回移植しても妊娠に至っていません。着床に関する子宮側の検査は一通り受けられて異常がないとのこと。

40歳を超えてくると、30歳の時と比べて2 倍くらい染色体異常の割合が増えてきます。あきさんは現在37歳。やはり年齢の影響により、受精卵側に問題が生じている可能性が高いのではないでしょうか。

先生からPGT -Aを提案されたそうですが、資金的に厳しくて今は受けられないそうです。

北村先生●PGT -A は現状自費の検査となります。この検査を受けると不妊治療自体が自費診療になってしまうので経済的なハードルが高く、受けるのを躊躇してしまう方も多いようです。

現在、学会では先進医療として認めてもらえるように申請をしているところですが、いつそれが実現するのかはわかりません。早ければ保険が改定される2年後になるでしょうか。

その頃、あきさんは40歳になっていますが、40代でできた受精卵でもPGT -A で異常がなければ、妊娠率は今とそれほど変わりません。

待つのも一つの方法だと思いますが、認可の可能性や妊娠後のことなどを医師やご主人とよく相談して決めていただきたいです。

胚盤胞を再凍結することで、質の低下など悪い影響は出るのでしょうか。

北村先生●ダメージはゼロでないと思います。しかしその影響は微少なもので、妊娠率が大きく下がるということはないでしょう。当院の胚培養士によると「10回ほど凍結・融解しても受精卵の状態は変わらなかった」という意見もあるので、それほど心配される必要はないと思います。

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