体外受精の排卵誘発や採卵には痛みがともなうのですか?【医師監修】

初めて体外受精を受けられる方には、「どんな施術?」と 不安がつきもの。そこでノア・ウィメンズクリニックの 波多野先生に、体外受精の流れと痛みについてお聞きしました。

【医師監修】波多野 久昭 先生 日本医科大学卒業。ハンブルク大 学産婦人科学教室留学後、日本 医科大学付属病院産婦人科学教 室講師、飯田市立病院産科科長 を経て、2005 年ノア・ウィメンズ クリニックを開院。A型・やぎ座。 自宅ではヨークシャテリア、キャバ リア、ミニチュアダックスフンドの 3 匹を飼う愛犬家。それぞれに個 性があって面白いそう。休日は屋 上で3 匹の犬たちと戯れ、癒され ている。
あかべえさん(会社員・32歳)からの投稿 Q.不妊の原因が一つ見つかり、タイミング指導から体外受精に ステップアップしたほうがよさそうな状況です。 これまでは何も痛い思いをしておらず、 体外受精は痛みをともなうのでは、と体験談を読みあさっているところ。 かなり痛い注射を10日間毎日して、排卵を抑える点鼻薬も噴霧して、 卵子を採るのも、ものすごい激痛で……って本当なんでしょうか?

排卵誘発の注射は痛い?

あかべえさんは「体外受精=痛い」という情報ばかり入ってきて、とても怖がられているようです。実際、痛みをともなう施術がありますか。
波多野先生 まずは、採卵に向けての排卵誘発を経口薬か注射で行います。
クリニックでの排卵誘発の注射は筋肉注射で、肩やお尻に打つのですが、これはやや痛いと思います。
痛みに弱い方は、ご自宅で自己注射を打つという方法もあります。
ペン型で注射針の細い皮下注射なので、簡単に打てて痛みもほとんどありません。
針を刺す深さも、刺さる所まで刺せばちょうどいいようにつくられているので、初めての方でも安心して打てます。
通院せず自宅でできるのも、時間的・金銭的にメリットだと思います。
ただしLHが低い方には適さないので、医師と相談してみるといいですね。

点鼻薬って??

点鼻薬はどんな薬ですか?
波多野先生 点鼻薬は、誘発してできた卵子が自然排卵してしまうのを抑えるために使う薬です。
これは、スプレーした時に喉の奥が苦い感じはしますが、痛みはありません。
花粉症の時に使う点鼻薬と同じような感じです。
最後に卵子の最終成熟を促すHCGという注射を打つのですが、これは筋肉注射なので少し痛いですね。
点鼻薬で代用する場合もあります。

採卵は痛いの??

採卵する時は激痛なのではとのことですが、麻酔はしますか?  麻酔の種類とその方法について教えてください。
波多野先生 確かに、一番痛みを感じるとしたら、採卵の時だと思いますが、麻酔をかけて行えば、通常、まず痛みはないと思います。
麻酔は局所麻酔と全身麻酔があり、局所麻酔は腟にスプレーするタイプやゼリー状のものがあります。
全身麻酔は静脈に点滴で入れる方法と、ガス麻酔があります。
卵胞がたくさんできている場合は、採卵に時間もかかりますので、全身麻酔をかけることになります。
麻酔をまったくかけない病院もあるのでしょうか?
波多野先生 無麻酔ということはまずないと思いますよ。
局所麻酔を使うか、座薬の痛め止めを使うことが多いですね。
全身麻酔でない限り意識はありますので、お腹の中を触られている感じはあります。
敏感な方は、それを痛いと感じるのかもしれません。

それでも痛い時もある??

通常は麻酔を使うのですね。痛みをともなうケースもありますか?
波多野先生 採卵は、経腟エコーで見ながら、針を刺して卵子を採っていきます。
普通は腟の壁から卵巣まで、最短距離で直接行くのですが、卵巣の位置によっては子宮を突き通していかないと卵子が採れない場合もあるんですね。
アプローチの距離が長いと、どうしても痛みを感じることがあります。
それから筋腫があって、卵巣まですんなり針が刺せない場合も痛いことがあります。
通常は痛みを減らすために細い針を使うのですが、子宮のような硬いものを通らないといけない場合は、太い針を使います。
そうするとやはり痛みを感じやすくなりますね。
そういう場合は、そのような状態だということは先にわかっているので、採卵する時に「こっちは大丈夫だけど、反対側は少し痛いですよ」などと話をします。
ただ、痛くて体を動かしてしまって採卵できないという方はまずいらっしゃいませんので、あまり心配しなくても大丈夫ですよ。
先生のクリニックではどのような方法をとられていますか?
波多野先生 卵子の状態とか、排卵誘発の方法によって違います。
点滴をして静脈麻酔をかけるか、座薬で痛み止めをして意識のある状態で採卵するか、ケースバイケースで患者さんと相談しながら決めています。
採卵中に痛みを感じる場合は、痛み止めを増やすこともあります。
では、胚移植はどのように行われるのでしょうか?
波多野先生 胚移植は、カテーテルに受精卵を入れて、超音波で観察しながら子宮口から子宮の中に受精卵を戻していきます。
これは、ほとんど痛みはありません。
普通は麻酔をかけませんし、短時間で終わります。

痛みへのアドバイス

最後に、痛みに対する恐怖心を克服するための、アドバイスをいただけますか?
波多野先生 緊張していると筋肉が収縮します。
子宮も筋肉ですから、収縮して硬くなっていると、針を刺したりする時、余計に痛く感じてしまいます。
だか、全身の力を抜いて施術を受けてほしいと思います。
そのためにも、不安なことがあったらなんでも事前にドクターに相談してください。

安心して、リラックスして臨むことが、一番の痛み止めになると思います。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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