【Q&A】胚盤胞の妊娠しやすいグレードについて~藤本先生

Noさん(25歳)

昨年の11月から不妊治療を始めて、人工授精を2月15日にしました。
判定日は3月5日で、それまでに生理が来てしまったら、いよいよ3月に採卵、凍結胚移植なら5月に移植になります。
採卵方法や体外受精顕微授精について不妊専門病院から概要をもらい、動画も見たのですが、妊娠しやすいグレードって胚盤胞6aaなのかと思いきや、妊娠しやすい胚のグレードは4abとネットを通して知りました。

それって本当なのでしょうか?
本当なのでしたら何故、胚盤胞6aaのよりも4abの方が妊娠率は高いのか教えてください。

藤本先生に聞いてきました

さっぽろARTクリニックn24 藤本 尚先生

日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、臨床細胞学会細胞診専門医。札幌医科大学産婦人科、神谷レディースクリニック 副院長を経て、医療法人社団 さっぽろARTクリニック開院し理事長に就任。2019年5月 医療法人社団 さっぽろARTクリニックn24開院。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
グレードについてのご質問ですが、まず初めにお話しすると、“グレードは必ずしも胚の質を表すものではない”ということです。
胚のグレードはあくまでも胚の見た目の評価になります。
胚のグレードは世界的に最も使用されているのは、Gardner分類になります。
施設によっては独自の胚の評価基準を設けている施設もあります。
例えば、人間に例えると、すごく真面目そうな見た目なのに裏で悪いことをしている。もちろん真面目そうな見た目でまじめな人もいます。
この見た目に相当するのが胚のグレードです。もし胚のグレードが質を表すなら、見た目の同じ胚(例えば胚盤胞4AA)が二つあれば、妊娠の確率も同じはずですよね?でも1個は25歳の胚、1個は40歳の胚であれば見た目は同じでも妊娠の確率は大きく異なります。このことからも、胚のグレードは必ずしも胚の質を反映しているわけではないというのが分かります。
しかし、研究などで大きなグループのデータで見ると、やはりグレードの良い胚の方が妊娠率は高くなります。

そして、一般論として、成長の早い胚は良い胚であるとも言えます。

それで言うと胚盤胞のグレード(Gardner分類)において成長の最も早い“6”で”AA”が妊娠しやすいように思いますよね。
ただ、“6”は脱出胚盤胞と呼び、すでに胚が透明隊から脱出してしまっている胚です。もちろん妊娠しますが、必ずしも一番妊娠しやすいとは言えません。研究論文などで胚グレードによる妊娠率の発表は世界に多数ありますが、一般的には4AAが最も妊娠しやすいという報告が多くなります。
多くなるというのは、その報告によって意見が多少分かれるからです。
ただし、6AAも4AB,4AAもどれも良好胚盤胞(その名の通り、いい胚盤胞と言う意味です。)になりますので、どれもそれなりに良い成績の胚になります。
そこの差を詳細に見る必要はあまりないかもしれません。

NoさんはAMH:10.33、多嚢胞性卵巣でもあり、卵がたくさん取れる方になります。かつ25歳ですので、良好胚盤胞でなくても、初期分割期胚でも良好胚盤胞でなくても(4BCなど)凍結基準を満たした胚であれば、とても良い妊娠率になりますので妊娠の可能性はかなり高いと思います。

楽しみですね。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。