【Q&A】排卵障害について~政井先生

もこさん(25歳)

生理痛緩和のため、7年程ピル(ヤーズ、ジェミーナ)を服用。妊娠希望のため、昨年9月にピル服用を停止。D39で自力生理がくるも、ピル服用前28日周期だったので婦人科を受診。受診日が生理3日目だったため、ホルモン検査を実施し、FSH4.1、LH2.6、エストラジオール18.7、プロラクチン19.2という結果に。2周期目D18に内診した結果、大きくても9mmで小さい卵胞が多量に確認、大きくなりそうにない為プラノバールでリセット。3周期目クロミッド一錠×5日試すも1番大きいもので11mm、D18で大きいものがなく、プラノバールでリセット。4周期目、クロミッド2錠×5日試し、D14で12mm、10mmがあるも、D19で大きくなっていなかった。
3周~4週の間に、ホルモン負荷テストを実施。D34です。前、30分、60分の順に、LH10.7、233.9、237.0、FSH4.9、17.5、21.8。15分のものが追加で、プロラクチン11.4、210.0、172.4、78.4。エストラジオール86.4、テストステロン62.8。以上䛾ことから、多嚢胞性卵巣、潜在性高プロラクチン血症と診断があり、カベルゴリンを服用中。
前述のような状態です。クロミッド服用で少し大きくなるものの、排卵に至りません。また、負荷テストでLHが200程度まで上がるのも、あまり見たことが無いと言われました。今後、どのように治療していけば良いのでしょうか。また、閉経に向かっているのではないか、と不安です。

政井先生にお聞きしました。

佐久平エンゼルクリニック 政井 哲兵 先生
鹿児島大学医学部卒業。東京都立府中病院、日本赤十字医 療センター、佐久市立国保浅間総合病院、高崎ARTクリニック 勤務を経て、2014年に佐久平エンゼルクリニックを開院。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください
ご相談内容拝見しました。
まず、月経不順があることから、何らかの排卵異常(排卵障害)があると推察できます。
また、超音波検査で9㎜程度の小さい卵胞が多数あることなどから多嚢胞性卵巣疑いということで間違いではないと思いますが、質問者様が「閉経に向かっているのではないか??」と心配されているとのことなので、一度AMH検査(いわゆる卵巣年齢検査)を受けて見られてはどうかと思います。
AMHは卵巣に残っているとされる卵子の数を予測する検査で、いわゆる早発閉経予備軍と言われる卵巣機能不全の方では年齢の割に数値が低く出たりすることがあります。
多嚢胞性卵巣の方は逆に、卵巣に排卵しない多数の卵子がある状態なので、一般的にはAMH検査で数値が高くなる傾向にあります。
排卵異常の原因が、多嚢胞性卵巣なのか、卵子自体の数が減っている(卵巣機能不全)ことで排卵がしにくくて生理不順になっているのか、確認をしてみた方がよいかと思います。
質問者様ぐらいの年齢(25歳ぐらい)の方でも、早発閉経予備軍と言って、極端に卵子が少なくなっている方が稀にいまして、そういう方では卵子がさらに少なくなる前に、一刻も早く体外受精での治療にステップアップした方がよい場合もあります。

逆に、多嚢胞で排卵しにくい方では、通常クロミッドなどの排卵誘発剤を使いますが、これまでにクロミッドでなかなか卵胞が育ってきていないことから、その他の排卵誘発剤に切り替えてみることも考えてよいと思います
具体的にはフェマーラやメトホルミンといった薬が多嚢胞の方に有効な場合があります。
これらの薬は以前は保険適応がありませんでしたが、最近保険での使用も可能となっており、治療法の幅が広がりました。

まずはAMHを測定してみて、卵巣機能不全ではないことを念のため確認してみて、卵子がたくさんあることが確認できれば、クロミッド以外の排卵誘発剤を使ってみるという方向性を試してみてもよいと思います。
場合によっては、このように様々な治療法の選択肢を提示してくださる不妊専門の先生が近くにいらっしゃれば相談してみてもよいかもしれません。
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