ナカツさん(28歳)
男性不妊を原因とし、2024年末から顕微授精一択で治療を行っていますが、成果が出ず、不安に押しつぶされそうな時間を過ごしています。
① 採卵結果から見るに、胚盤胞になりにくい体質なのでしょうか。6度目の採卵では注射の種類を変えて、HMGにチャレンジし、採卵数や受精数は過去最多でしたが、その後全て発育停止という結果でした。誘発方法が合わなかった、と捉えるべきでしょうか。またその場合、来月の採卵ではレコベルに戻し、採卵数は見込めないものの、ひとつずつでも胚盤胞獲得を地道に目指すべきでしょうか。他にも考え得る誘発方法等がございましたら、ご教示いただきたいです。
② 年齢的にも27歳で治療を始め、一度は心拍確認できたこともあり、2回目の移植では期待を寄せていました。1度目の移植時よりもグレードの良い胚を移植したにも関わらず陰性となることもあるのでしょうか。
③ 3回目の移植では2個移植を提案いただいているのですが、妊娠率を高めるため行っておくべき検査などあるでしょうか。
④ 地域柄、医療資源が少なく、同じ医療機関へ1年半通院を続けています。距離的にも仕事への影響が少なく、治療経過や成績を把握していただいてる現在の病院で治療継続することが、妊娠成立への近道だと言い聞かせて通院していますが、なかなか結果が出ません。専門医が考える転院のベストなタイミングなどありましたら、ご教示いただきたいです。
地域柄、セカンドオピニオンができるほどの医療資源もなく、SNS上では判別が付かない情報ばかりで、このような機会に出会い大変感謝しております。
宇津宮先生に、お話しを聞いてきました。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
ナカツさんは確かに胚盤胞になる率が少ないと思います。しかし、それは低刺激法のためと思います。主治医は低刺激に慣れてしまっているのでしょう。
まず、AMH2.1ですから卵胞数15個前後、採卵数10個前後を目指す調節刺激法が良い(15個、10個は有名な論文が出ています)と思います。採卵数10個で胚盤胞は3個前後得られます。そのためにはFSHよりもHMGの方が効果的です。レコベルは低刺激法向けの薬です。最低10個の良好採卵数を目指すべきです。そのためにはDHEAもサプリに加えましょう。そして多数の胚盤胞が得られたら、今、世界で最も進歩している方法のPGT-Aが良いと思います。
2回目の移植は染色体異常胚だったと思います。PGT-Aによれば、良好胚盤胞でも正常染色体胚は25%しかありません。流産胎盤の染色体検査を行っていないようですのでそこも気になります。流産を繰り返すカップルの5%に染色体異常があると言われていますので、夫婦の染色体検査もすべきでしょう。しかしするなら遺伝専門医によるカウンセリングがあったほうが良いです。
ナカツさんはBMI:17で、やせすぎです。20(体重56kg)を目指しましょう。今はおそらく妊娠に必要な十分なカロリーと栄養が足りていないと思います。妊娠もしにくいでしょうし、妊娠しても胎児に影響が出る可能性があります。
ナカツさんのこの治療成績を見れば、経験のある生殖医療専門医ならだれでも理解できますので転院をためらう必要はないと思います。できれば今の主治医の紹介状を持って行った方が良いです。

また、ご主人は健康でしょうか。こちらも健康な体でなければなりません。サプリメントはこれで十分と思いますが、泌尿器科の診察はいかがですか。精索静脈瘤など、心配です。また、ホルモン(特にFSH)が低いならホルモン療法も役に立ちます。泌尿器科の不妊専門医にみてもらってください。自分でできることとして、過激な運動や生活習慣、たばこや過度の飲酒、ストレスフルな環境(生活上も仕事上も)を避けましょう。すべてを妊活のために、そして採卵日に向かってリラックスしてストレスのない1~2週間を過ごしましょう。精子は1匹あればよいのではありません。良い精子がたくさんあって、その中から最も良い精子を選ぶようにならねばなりません。
よってナカツさんは
①きちんとした調節刺激法で多数の卵子を得られるクリニックに行くこと
②できればPGT-A
③夫婦の染色体検査、および不育症検査をすること
④生活習慣、夫婦の健康状態を考え直すこと
AMHが2.1で精子もあり、まだ20代ですので十分希望があります。正しい知識を持って取り組みましょう。