福井ウィメンズクリニック 福井 敬介先生のオンライン質問会

今回は、移植方法や採卵数の少ない時の治療法など普段の診察では聞きづらい疑問や悩みなどさまざまな内容の質問が寄せられました。また追加で寄せられたチャットの質問にも、一つひとつ丁寧に答えてくださった福井先生。誠実で的確なメッセージは福井先生の治療に対する熱い思いも伝わり、とても中身の濃い質問会となりました。

福井ウィメンズクリニック●福井 敬介 先生 日本大学医学部卒業。卒業と同時に愛媛大学産科婦人科に入局。愛媛大学大学院医学専攻科修了。2000年愛媛大学産科婦人科学助教授。2001年、「高度な生殖医療をより身近な医療として不妊カップルに提供したい」と福井ウィメンズクリニックを開設する。

チョコレート囊胞。妊活は問題なし?

現在35歳。チョコレート囊胞があると医師から言われましたが、治療はなく、タイミング法で通院中です。手術や投薬などせず、このまま何も言われないので妊活を優先しても大丈夫なのでしょうか。
司会●チョコレート囊胞の治療を優先しなくていいのでしょうか。
福井先生●チョコレート囊胞には、「子宮内膜症取扱い規約」というガイドラインがあります。卵管の通過性や囊胞の大きさがわかりませんが、担当医が気にされていないということであればおそらく囊胞の大きさは4cm以下なのでしょう。35歳で卵管が通っていて4cm以下であるならば、一般不妊治療下で様子をみるということでよいかと思います。
 ただ、年齢がもう少し上であれば、年齢の影響などさまざまなファクターを考え合わせて、チョコレート囊胞の治療を優先させるほうがいいかと思います。
司会●チョコレート囊胞が小さくなることはあるのでしょうか。
福井先生●通常はありません。変わらないか、大きくなるケースがほとんどです。よって、経過観察はとても大切です。35~40㎜の大きさであれば、何らかの医学的介入、治療が必要になるかと思います。ただ、手術によって正常な部分も削って、卵巣予備能も低下させてしまう恐れがあります。特に採卵中ならば、注射に対する反応が悪くなって採卵数が減ることもあるので、手術に関しては慎重にならなくてはなりません。
 チョコレート囊胞は破裂や、感染を起こす確率は低いのですが、0.7~0.8%の確率でガン化することがあります。急激に大きくなる場合は注意が必要です。不妊治療だけを考えていると、思わぬ合併症が出てくることもありうるので気をつけましょう。

同じ移植方法を繰り返しても大丈夫?

現在37歳、体外受精で初期胚移植1回、胚盤胞移植4回、5回目の判定待ちです。2回目以降同じ薬で、2回移植やSEET法などの提案もなく、同じ治療方法。凍結胚は残り3個。このままでいいのでしょうか。
司会●同じ移植方法を繰り返していることに疑問を感じられているようです。
福井先生●疑問や不安があれば、すぐに医師に相談したほうがいいと思います。まずは主治医としっかりコミュニケーションを取ることをおすすめします。
 ただ、2個移植をやっていない施設(クリニック)もありますし、子宮内膜刺激胚移植法(SEET 法)は先進医療の申請が必須です。もしかしたら、そのあたりがまだ準備できていないのかもしれません。そういったことも含めて、医師と相談してみましょう。もし、SEET 法などの準備段階であるのであれば、時期を待たれてもいいのかもしれません。
司会●転院まで考えたほうがいいのでしょうか。
福井先生●現在、すでに5回目の判定待ちで凍結胚がまだ残っている状態なので、そのあたりを踏まえて、まず医師に相談してください。そこで今後の提案があるようでしたら、積極的に転院する必要はないのかなと思います。
司会●患者側から移植法を変えてみたいというようなことを言ってもいいのでしょうか?
福井先生●医師は患者さんの気持ちに寄り添って、一緒に治療を進めていき、問題解決への道を歩んでいくものです。もし不安や要望があれば、まずは医師に伝えましょう。相手は看護師やカウンセラーでもかまいません。

採卵数が少ない場合どんな治療法が?

41歳、AMHは1ng/ml以下、5個採卵のうち胚盤胞2個凍結。移植するも稽留流産でした。保険適用で新たに治療を考えているのですが、胚盤胞まで育つか不安です。初期胚移植のほうがよいのかと迷っています。
司会●ご質問のように採卵数が少ない場合、先生のクリニックではどのような治療をされますか。
福井先生●まず、1月に採取できた卵子について、41歳でAMH は1ng/ml 以下の方が5個、胚盤胞が2個凍結できているのは、まずまず良い成績だと思います。
 ただ年齢とともに反応が下がっていく可能性があるので、とにかく早く採卵を繰り返して行い、胚盤胞を凍結して受精卵を貯めていったほうがいいと思います。初期胚については凍結してみないとわからないというのが正直なところです。胚盤胞に到達できないと妊娠につながらないと考えているので、私の考えとしては、胚盤胞まで到達できるのであれば培養すべきだと思います。胚盤胞にならない方でしたら、初期胚凍結から移植となるかと思います。
司会●稽留流産をされ、今後の治療方針に悩まれているようです。アドバイスをいただけますか。
福井先生●流産されている場合、回復期間が短い人でも2カ月、場合によっては半年くらいかかることもあります。そうすると41 歳という年齢を考慮すると、半年というのはとても大事なので無駄にしたくありません。 自費診療になりますが効率面も考慮すると、着床前胚染色体異数性(PGT-A)検査をやって正常胚を戻していきたいと私は考えます。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。