胚盤胞移植で流産2回。
検査も受けました。
今後の治療は?

あいウイメンズクリニック 伊藤 哲 先生 順天堂大学医学部卒業、同大学院修了。順天堂大学医学部産婦人科学教室講師、国際親善総合病院産婦人科医長を経て、1999 年あいウイメンズクリニック開院。日本生殖医学会生殖医療専門医。
みーんさん(35歳)体外受精顕微授精にトライ中。3年前のAMH値が11.61ng/ml で多囊胞性卵巣症候群と診断されています。一度の採卵で56 個の卵子が採れ、胚盤胞になったのは15 個(5BA、3BC、5BB、4AB)。流産2回で不育症検査ではNK細胞活性とのこと。夫婦の染色体、PGT-A 2回、ERA検査を実施。ホルモン補充はD2からエストラーナ®テープ、ビタミン剤服用で、移植日の5日前からルトラール®を使っています。同じことの繰り返しでうまくいくのか不安があります。

PCOS(多囊胞性卵巣症候群)ということですが。

伊藤先生●PCOSの方は採れる卵子の数が多いのですが、それにしても56個は多いですね。残しておくと卵巣過剰刺激症候群の原因になってしまうし、PCOSの場合、数が多い割には卵子の質があまり良くないのですべて採っておいたほうがいいでしょう。胚盤胞になる確率も上がります。実際、この方も15個胚盤胞になっていますね。

2回流産した原因はどこにあるのでしょうか。

伊藤先生●不育症検査をされて、NK細胞活性が高いと指摘されたとのこと。この細胞が活性化すると受精卵を異物と見なして攻撃してしまい、不育症の原因になるといわれています。活性を抑える注射があるのですが保険適用はなく、根拠も今ひとつ乏しいといわれています。
 それよりもこの方の場合、受精卵の染色体異常が関係しているのでは? まだ高齢といわれる年代でなくても、異常が現れることがあります。
 正常胚か異常胚か見極めるために、初期胚を培養して5BBの胚盤胞まで育ててPGT ‒A(着床前胚染色体異数性検査)の生検に出しているそうですね。40代の方だと異常胚が多く、検査をやる意義があるのか難しいところですが、まだ30代だったら良い胚を見極めて戻せば妊娠する確率は50%以上といわれています。無駄な移植をすることも避けられますから、検査を受けて良かったのではないでしょうか。

ホルモン補充のやり方に関してはどう思われますか。

伊藤先生●エストラーナRテープは当院でも採用しています。ルトラールRに関しては移植に向けては使っていません。移植前から使ったから流産するということはありませんが、胎児への影響がゼロではありません。慎重に考える施設だと、天然型の坐薬を使うことが多いと思います。

みーんさんは他県に引っ越す予定で、受精卵の移送も検討しているそうです。

伊藤先生●資料からは今の治療方針にまったく問題なく、最先端の検査もされています。このまましばらく治療を続けてもいいと思いますが、引っ越される予定なのですね。普通の受精卵であれば問題なく他施設に移送できますが、PGT ‒Aを通した受精卵だと細かなルールがあります。転院先の施設で排卵チェックやホルモン補充などをして、移植は元の施設でやるという選択肢もありますから、担当の医師とよくご相談を。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。