【Q&A】遺残卵胞と卵胞の大きさについて~政井先生【医師監修】

はんなりさん(39歳)

昨年8月流産をしてから、なかなか妊娠できない状態です。原因不明不妊で悩んでいます。
昨日、生理4日目で病院を受診しました。以前もありましたが遺残卵胞があると言われました。また、左䛾卵胞一つが14ミリでした。生理4日目で14ミリは大きいのでしょうか?なぜ、生理4日目でこのように大きくなるのでしょうか?
また、遺残卵胞があると言われました。遺残卵胞があると排卵しないのでしょうか?妊娠は可能でしょうか?
遺残卵胞はどのように無くなることができますか?
心配でなりません。よろしくお願いいたします。

政井先生にお聞きしました。

【医師監修】佐久平エンゼルクリニック 政井 哲兵 先生
鹿児島大学医学部卒業。東京都立府中病院、日本赤十字医 療センター、佐久市立国保浅間総合病院、高崎ARTクリニック 勤務を経て、2014年に佐久平エンゼルクリニックを開院。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください
遺残卵胞について、生理4日目にみられる14mmの卵胞様のものは、確かに遺残卵胞(前周期以前にできた卵胞の名残)でよいと思います。
遺残卵胞と呼ばれる現象の原因はいろいろありまして、
1.排卵した後の黄体の名残(黄体血腫等の名残)
2.排卵しなかった未破裂卵胞いわゆるLUFというようなもの)
3.卵巣機能不全(FSHが高いなど)で継続的に卵巣が刺激されている状態で発生す
るものなどです。
前周期の遺残卵胞であれば、理論上今週期育ってきた新しい卵胞ではないので、妊娠の可能性はないと言えますが、現実的には今見えている卵胞様のものが前周期以前の古いものなのか、今週期育った新しい卵胞なのか判別する手段はありません。
また、生理中に卵胞が育つのか?と聞かれることもありますが、卵巣機能不全で持続的に高FSH環境にある場合(上記3.のケース)には生理中でも卵胞発育がみられることがあります。
通常このようなケースではAMHがかなり低く残された卵子も少ないことが多く、体外受精など不妊治療が急がれるケースが多いです)
遺残卵胞自体は周期の経過とともに自然に縮小していくものですが、たとえば、上記3.のケースのような場合では、常にFSHが高いことで卵巣が刺激されている状態なのでなかなか縮小しにくいという場合もあります。
このような場合にはピルを使ってFSHを下げることで縮小を期待する場合もあります。

以上まとめると、遺残卵胞(前周期以前の卵胞もしくは黄体の名残)自体は新しい卵胞ではないので、妊娠の可能性はほぼないと言えるが、今実際に見ているものが前周期の名残なのか、今週期新しく育ってきたものなのかは判別が難しいので、差し当たってこの状態で治療を進めていく(タイミング法、人工授精の場合は実際に治療を実施してみる)が現実的対応ではないかと思います。

頻回に遺残卵胞が発生するような状況がある場合は、上記のような高FSH環境による可能性もある(卵巣機能が悪い可能性)ので、早めの体外受精も視野にいれたステップアップを検討してみてもよいかと思います。
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