ステップダウンをすすめられています

顕微授精から体外受精へ治療のステップダウンで妊娠の可能性はある?

6 回の顕微授精で一度も着床していないことから、治療のステップダウンをすすめられています。40 代半ばから下降する妊娠率と上昇する流産率の現実を踏まえ、胚移植の方法、体外受精の利点などについて内田クリニックの内田昭弘先生にお話を伺いました。

内田クリニック 内田 昭弘 先生 島根医科大学医学部卒業。同大学の体外受精チームの一員として、1987 年、島根県の体外受精による初の赤ちゃん誕生に携わる。1997 年に内田クリニック開業。生殖医療中心の婦人科、奥様が副院長を務める内科、大阪より月1 回来院の荒木先生による心理カウンセリングとサポート体制が充実している。
こゆびさん(45 歳)からの相談  43 歳で結婚し、44 歳から顕微授精で6回移植をしました。1 回目は42 歳の時に採卵した卵子を2 日目初期胚、2 回目は胚盤胞BB、3回目は2 日目初期胚、4 回目は二段階胚移植で2 日目初期胚・胚盤胞CB で、5 回目は初期胚2 個戻し、6 回目は初期胚で戻しました。排卵誘発剤は、クロミッドⓇ、CC + HMG、ショート法、アンタゴニスト法(レルミナⓇ)の順で使用。まだ一度も着床していません。AMH は3.11ng / ml あり、1回の採卵で10 個採れますが、胚盤胞まで育たなくなってきました。精子の検査データは、液量1.1ml、濃度15 × 106 / ml、運動率37%です。今後、治療のステップダウンをすすめられています。先生のお考えをお聞かせください。

ドクターアドバイス

●胚移植は、初期胚を複数個、戻す方法も。
●AMH 値が高くても妊娠可能とは限りません。
●体外受精で受精卵になるか確認を。

40代で下がる妊娠率、上がる流産率複数個の胚移植も視野に入れて

6回の顕微授精を行っています。移植歴の内容から提案できるプランはありますか?

内田先生●移植歴を見ると、1、3、5、6回目は初期胚を採卵周期そのままで戻し、2回目と4回目が凍結胚の移植のようですね。排卵誘発法もそのたびごとに変えて使っていることから、よく考えて治療に当たっておられる先生だと思います。気にかかるのは、移植歴の5回目のみが初期胚2個戻しというところです。それ以外は1個戻しでしょうか。

40歳を過ぎれば、妊娠率は下がり流産率が上がります(右下グラフ参照)。その率から、多胎妊娠になる可能性は明らかに低いと考えられます。そこで受精卵を3つでも4つでも子宮に戻すプランもありなのかなと思います。幸い、こゆびさんは受精卵がたくさんできます。年齢が進むにつれて胚盤胞が育たなくなってきているのであれば、育つまで待つのではなく、初期胚で複数個戻すことも考えられます。

胚移植に関しては、採卵時にそのまま胚移植をする新鮮胚移植を複数個で行うというパターンもありますし、初期胚を全部凍結して、それをまとめて複数個、凍結融解周期で移植するパターンもあります。ただし、これらの治療は誰でも当てはまるわけではなく、43~45歳くらいの方に限ります。胚盤胞に育たなくなっているのを基本にした時に、新鮮周期でも凍結融解周期でも、初期胚にターゲットを絞りできるだけ多く戻す。それが、まだ試していないプランではないでしょうか。

AMH の値と採卵数は卵子の質と比例していません

AMHは高く、卵子も採れるようですが、それを希望と受け止めていいでしょうか。

内田先生●AMHが3・11ng/mlという数値は確かに高く、1回あたりの採卵で10個弱の卵子が採れるのも多いです。一般的には、45歳近かったら数値は1ng/mlを下回っていることが多く、卵子もどんな排卵誘発剤を使っても1個か2個というところです。しかし、多く育ったとしても、その中に妊娠できる卵子があるかどうかは何とも言えません。

倉庫にたとえると、中にたくさんの在庫があるけれど、不具合のある在庫ばかりだったら、いくら出荷しても返品されてしまいます。あるいは、在庫が減っていて少ない出荷しかできず、出荷したとしても返品されてしまう可能性も考えなければなりません。これが45歳の卵巣の中ということでしょうか。ですから、はっきりと可能性がありますよとは、言いづらいですね。

でも、排卵誘発剤の反応は期待できると思います。育った卵子の中に、妊娠につながる卵子が含まれていることを祈るばかりです。

顕微授精から体外受精へステップダウンはトライすべき

治療のステップダウンについて、先生のお考えを教えてください。

内田先生●僕は、1回でも体外受精をして受精卵になるかどうかを確認できたらと思うので、ステップダウンはありだと思います。それで受精卵ができれば、人工授精でもタイミングでも、卵子と精子が出会えば受精卵になる可能性があるかもしれないからです。

治療方針では、5回目以降の排卵誘発剤については触れられていませんが、僕はロング法も提案したいです。AMHが高く卵子の個数もあるので、5個か6個の卵子は育つと思います。現在、顕微授精で受精卵になることがわかっていますが、体外受精でも受精卵になるのであれば、排卵誘発剤を使いながらタイミングでいくか、人工授精もありです。

内田クリニックでは、かつて40代半ばで22回の人工授精を行い、約4年の治療を経て無事出産に至ったケースがあります。ですから、ステップダウンも意味がないとは言えません。

治療費も、毎周期しても高度生殖医療にかかる費用の約10分の1程度のはずですから、継続もしやすいと思いますよ。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。