明大前アートクリニック 北村誠司先生のオンライン質問会

「排卵がうまくいかない場合、体外受精にステップアップしたほうがいい?」「着床不全の原因を調べる検査は?」など、なかなか結果が出ない時は治療法や検査について悩むことがあります。どのような選択をすれば妊娠に少しでも近づけるのか、明大前アートクリニックの北村先生からアドバイスをいただきました。

明大前アートクリニック●北村 誠司 先生 1987年慶應義塾大学医学部卒業。2008年荻窪病院虹クリニックを開設。退職後、2018年明大前アートクリニックを開設。1989年からIVF及び内視鏡下手術に従事。子宮鏡下手術による胚移植の改善、腹腔鏡下手術による子宮筋腫、内膜症の解消、改善を積極的に図ると同時に、妊娠困難症例に対しても新しい治療法を取り入れています。

LUFの原因と対処法について

現在35歳。先日2回目の人工授精に挑戦したところです。この1年の間に何度かLUF(黄体化未破裂卵胞)が起きてしまい、治療できない周期がありました。LUFに原因や対処法はあるのでしょうか。
司会●LUF(黄体化未破裂卵胞)とはどのようなものなのでしょうか。
北村先生●LUFは排卵すべきところで卵胞が破けなくて、卵子が出てこないという事象をいいます。この方はAMH値が11・6ng/mlとのこと。高FSHの場合、多囊胞性卵巣症候群の可能性があり、LUFはそういった方によく起こるという報告もあります。
 なぜ起こるかというと、排卵時に分泌される炎症物質が関与している、クラミジア感染症子宮内膜症による癒着が卵巣の周囲などにあると、排卵する時に卵胞の破裂が邪魔されることがある、といったような原因が考えられています。
司会●LUFを起こさないようにする対処法はありますか。
北村先生●排卵を起こすために、HCGの注射を打ったり、GnRHアナログの点鼻薬を使ってLHサージを起こすやり方があります。LUFを起こしやすい方は自然に排卵させるのではなく、そのような刺激をして積極的に排卵をうながすことが一つの対策になるかもしれません。
「繰り返す場合には体外受精にしたほうがいい?」とも考えていらっしゃるようですが、体外受精にしなければうまくいかないということはありません。ただし、いつまでも卵子が出てこなければ精子と出会うチャンスがなく、妊娠には至りません。複数回繰り返すようなら体外受精も有効な対処法ともいえるでしょう。

移植前にやっておいたほうがいい検査は?

1回目はグレード5AA胚盤胞8週目で流産。2回目は4AA胚盤胞で着床せず。不育症検査では第12因子抗体が59、NK細胞活性、子宮鏡検査、EMMA/ALICEの検査は異常なし。ほかにやったほうがいい検査はありますか?
司会●いろいろ検査をされていますが、ほかに受けるべき検査はありますか。
北村先生●子宮鏡の検査をされて異常がなかったということですが、子宮鏡を使って肉眼で見た所見は医師によって診断に違いが出ることもあります。ですから、組織を採って診断する子宮内膜炎の検査を受けてみるというのも選択肢の一つになるのかなと感じました。
 この方は1回目の移植では残念ながら流産してしまいました。2回目は良好な胚盤胞でも着床できなかったということですね。不育症というより、受精卵がなかなか着床しにくい、いわゆる着床不全という可能性も考えられるのではないでしょうか。
 もしかしたら着床に関する免疫のトラブルがあって受精卵が育ちにくかったり、着床しづらいという要因があるのかもしれません。そうすると、Th1、Th2 のリンパ球の比率を見て免疫の異常がないかどうか調べる検査は一度やっておいたほうがいいのかなと思います。

PPOS法について教えてください

年齢は29歳で妊娠歴はありません。治療年数は半年になります。不妊の原因は卵管水腫。現在体外受精で治療をしていますが、採卵法はPPOS法になりました。この方法について詳しく知りたいです。
司会●PPOS法とはどのような方法なのでしょうか。
北村先生●PPOS法は高刺激の一つで、黄体ホルモンを使うことで卵巣の刺激をしていくやり方になります。だいたい生理の3日目前後くらいからスタートして、注射で卵胞を育てるための排卵誘発をしていきます。黄体ホルモンを使うことで排卵を抑えていく効果が期待できるのですね。
 よくアンタゴニスト法と比較されます。PPOS法はアンタゴニスト法と同程度の排卵抑制効果が期待されるうえ、かかる料金はPPOS法のほうが安いので、治療が受けやすいというメリットがあります。
司会●向いているのはどんな人ですか。
北村先生●たとえば多囊胞性卵巣症候群でAMH値が高い、LH値が高いという場合、排卵抑制していかないとコントロールができなくて排卵してしまうことがあります。その時に注射や点鼻薬を使わなくて済みます。黄体ホルモンをメインに排卵を抑えれば、より卵子の発育の改善が期待できます。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。