AMHが0.07ng/mlと低く閉経間近といわれました。早めの体外受精がいい?

久保みずきレディースクリニック石原 尚徳 先生 高知大学医学部卒業後、神戸大学医学部大学院修了。医学博士。兵庫県立成人病センター、兵庫県立こども病院の勤務を経て、2008 年より久保みずきレディースクリニック菅原記念診療所勤務。不妊治療から周産期・小児医療まで、地域に根ざした総合的なサポート体制が整う同クリニックで、不妊治療/婦人科、産科を担当する。
相談者 : みちこさん(38歳)妊活の検査で、AMH の値が0.07 ng/ml で閉経間近と言われました(昨年のFSH 値は18mIU/ml)。タイミングではなく人工授精からはじめる予定です。一般的には人工授精を6 回行い、難しければステップアップと聞いたのですが、早めのステップアップがいいのか悩んでいます。経済的に何度も体外受精をするのは難しく、私の状態ではどのように進めたらいいでしょうか。チョコレート囊胞が右に1㎝、左に2㎝あります。パートナーの精子に異常はありません。

AMHが低いと閉経は早くなりますか?

石原先生● 1 周期あたり卵胞がどのくらい減っていくかにもよります。一般的には卵巣に残っている卵胞が1000 個未満になると閉経するといわれています。
 みちこさんの閉経が早いとはいい切れませんが、AMH0・07ng/mlという数値はかなり低く、FSHも18mlU/mlとのことですから、1周期ごとに候補になる卵胞や、採れる卵子の数は少なくなるでしょう。

体外受精へのステップアップについてどう思われますか?

石原先生●ご年齢とAMHを考えると、早めに体外受精に進まれたほうがいいと思います。チョコレート囊胞もすぐに手術が必要な大きさではありませんが、お腹の中で癒着を起こしている可能性は高いです。
 ただ、いきなり体外受精をされるのはハードルが高いかもしれませんね。人工授精は年齢が若ければ6回が目安ですが、みちこさんの場合は2 〜3 回試して、うまくいかないようでしたら体外受精に切り替えられるといいでしょう。
 体外受精の卵巣刺激法については、まず1回は高刺激法で卵巣の反応をみて、採卵数が少なければ、次回から低刺激法にされるといいと思います。
 ある程度の数の卵子が採れないと、妊娠できる受精卵になかなか巡りあうことはできません。1回の採卵では難しいかもしれませんから、諦めずに採卵を続けてほしいですね。

これからの治療についてアドバイスをお願いします。

石原先生●いつもお話ししていることですが、治療と同時にご自身でも赤ちゃんを迎えるための体づくりをしましょう。食事、運動、睡眠などの生活改善はもちろん、葉酸、ビタミンD、亜鉛などが効率よく摂れるマルチサプリメントなどで、卵巣や子宮の状態を整えておくことも大切です。また、いまのうちに体外受精の治療内容や費用について勉強しておかれるといいですね。
 体外受精・顕微授精を受けられる方を対象にした「特定不妊治療費助成制度」は、2021 年から治療回数、助成金額、所得制限などが拡充しています。お住まいの自治体で確認してみてください。自治体によっては患者さんの負担額をかなり軽減できます。
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