CD138検査の結果はどのように理解すればいい?

神奈川レディースクリニック 小 林 淳 一 先 生 慶應義塾大学医学部卒業。1984 年より習慣流産の研究と診療に携わり、1989 年より済生会神奈川県病院においてIVFを不妊症・不育症の診療に導入。その後、新横浜母と子の病院の不妊・不育・IVFセンター長に就任。2003年、神奈川レディー  スクリニックを開院する。患者さまの個々のペースに合わせた無理のない医療を目指す。

相談者:ビタマイザーさん(33歳)先日、CD138検査を受けました。子宮鏡と同時に内膜剥離をされました。結果は「5,2/全視野」でした。インターネット等で検索すると「○/ 10 視野」「○/ 20 視野」との記載は見つかります。 医師からは「5だけど全視野だからね。とりあえず抗生剤を飲みましょう。 全視野が数でいくつを指すのかはわからないね」と言われました。陽性基準が定まっていないことは理解できています。 医師にわからないと言われて非常に困っています。

 

CD138検査とはどのような検査なのですか。

小林先生●CD138検査は、慢性子宮内膜炎がないかどうかを調べるための検査です。慢性子宮内膜炎は着床不全の方の約3割に見られるといわれているんですね。この検査は不妊症患者さん全員が受けるものではなく、当院では体外受精に臨んでもなかなか着床しない人、子宮鏡検査で異常が認められた人におすすめしています。

まず子宮内膜組織を採取し、細菌感染などにより子宮内膜で変化した形質細胞(CD138陽性細胞)を免疫染色。それを顕微鏡で観察して、視野に何個以上あればプラス、何個以下ならマイナスといった形で診断を下します。

陽性の基準は、まだ定まっていないそうですが…

小林先生●10年ほど前までは慢性子宮内膜炎という概念はなく、腟は調べても子宮の中の菌を調べることはほとんどなかったんですね。ほんの数年前に出てきた検査で、陽性の基準もまだはっきり決まっていませんが、一応、20視野にCD138陽性細胞が5個以上で陽性と診断している施設が多いようです。

検査機器などにもよると思いますが、この方の場合は全視野での観察で 5個ということ。おそらく異常な状態ではないと思われます。

検査結果がプラスになったらどのような処置をとるのですか。

小林先生●陽性の結果が出て慢性子宮内膜炎が疑われたら、抗生物質を投与します。軽い炎症なら1週間から  日程度、慢性子宮内膜炎の確定診断を受けたら2週間程度服用。特に異常値が出た人は、治療後にその効果を確認するために再検査をすることもあります。

慢性子宮内膜炎を予防することはでき るのでしょうか。

小林先生●子宮内の細菌バランス、いわゆる子宮内フローラが乱れていると内膜に炎症を起こしやすくなります。これを防ぐために当院ではラクトフェリンのサプリメントを患者さんにおすすめしています。ラクトフェリンの作用でフローラを整え、子宮内膜の環境を着床しやすい状態に保ちます。

慢性子宮内膜炎の治療で使う抗生物質はよい菌も殺してしまう難点がありますから、治療中にサプリメントを併用するのもいいかもしれません。妊娠後も子宮内フローラをよい状態にしておくことで前期破水を避けることができるので、医師と相談しながら上手に活用していただきたいですね。

 

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